「この本は難しかった。」
「この本はわりと簡単、読みやすかった。」
などと、感想と言うか、印象を語ってしまいがちです。
だけど、私は今回出会ってしまいました。
簡単に読めて、中身が難しい本を・・・。
おはようございます。
わかばです。
今日は日高敏隆著「世界を、こんなふうに見てごらん」
を紹介します。
本当に易しい言葉で書かれていて、
電車の行きかえりで読めてしまうような本だし、
賢い小学生なら容易く読めそうな本なのです。
でも、・・・深い・・・実に深い・・・。
ブログに感想を書こうと思って、
はたと立ち止まって考えました。
さて、私は何を書こうか・・・
何を理解し、何を伝えたいか・・・
わからなくなってしまいました。
何度か読み返し、
気になるところにアンダーラインをひきました。
それくらい深く、
本質に迫った言葉の数々であったのだと思います。
筆者は2009年に他界されていますが、
動物行動学者です。
この本は動物や昆虫を観察し、
観察を通して筆者が考えたことが書いてあるエッセイです。
何度も読むうちに、一番印象に残ったことを書きます。
あるいきものがある行動をとるのは、
もともとそうなのか(遺伝)、
後天的なものなのか(学習)
研究者のなかでも、「遺伝だ」という時代があり、
「学習だ」という時代もあって、そのときそのときによって、
大きく振れるそうです。
そうしてこう続きます。(以下引用)
一方が強く主張する時代があり、またその反論の時代があり。遺伝か学習かの問題は、延々と振り子のように両方のあいだで揺れをくり返している。
なぜ我々はいっしょうけんめいそんな議論をするのか。ぼくはそのおおもとは戦争だと思っている。
(中略)
戦争はなくしたいとみな本気で思っている。ないほうがいいと思っているのに起こるのはなぜか。
学習が足りないからか。本来なくならないものなのか。
(中略)
いろいろな例を眺めてみると、どうも本来戦ういきものというわけではなく、状況によって、下手をすると戦いになったり、ならなかったりしている。また、戦わないことが必ずしもよい結果につながらないこともある。
そのように現実のものごとは複雑におさまっているのではないか。
まず、いろいろな例を眺めることが必要なんだなぁ・・・
そうそう、日本語でもそうする。
いろんな例文作ってみたりして。
一面だけをみて判断しないこと。
そして現実は複雑だ・・・ということ。
「AはBだ」というような答えがすぐでない。
そうだよなぁ。子育ても人間関係も仕事も、
「こうすればいい」なんていう答えはない。
答えが出たと感じてしまうようなときは
振り子といっしょに
振られているのかもしれない。(以下引用)
揺れる振り子の、その奥にあるいきものの根本をじっとみつめ、それはいったい何なのだろうと、わからなくても探り続ければいいのだろうと思う。
揺れる振り子と同じように
自分も振られながら、
また立ち止まりながら、
わからなくても、
探りつづけようと思います。
探るって何を?
では、さようなら~