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映画No12【最愛の子】人生の悲哀、それは立場は一瞬にして逆転すること

春節快楽!万事如意!

今日は旧正月の新年ですね。
しかし、台南の地震のことを思うと、
胸が痛みます。
被害にあわれたみなさまにお見舞い申し上げますとともに
1日も早い復興をお祈り申し上げます。
 
こんばんは。
わかばです。
 
今日は先日見た中国映画を紹介します。
中国映画ってあまり日本公開されないように思うので、
ちゃんとチェックしてみるようにしています。
最近は社会的な問題に切り込んだ力作が多いように感じています。
 
最愛の子(2014/中国)
監督:ピーター・チャン

最愛の子 [DVD]

中国、深※(※…土へんに川)。その市街地で、3歳になる男児ポンポンが姿を消してしまう。死に物狂いで愛する息子を捜し出そうと、警察に捜索を訴え、インターネットを通じて消息に関する情報を集める両親だったが、息子と会うことはかなわない。それから3年後。後悔の念と罪の意識を抱えながら捜索を続ける二人は、ついに中国北部の村で生活していた彼と再会。6歳になった息子を連れ戻そうとするが、育ての親から離れたくないと激しく拒まれてしまう。

シネマトゥデイより)

 

以下、ネタバレあります。
 
児童誘拐ビジネスとか、恐ろしすぎます。
ちょっと目を離したすきに連れ去られて、
警察は動いてくれないし、
自分で駅に行って探すしかない。
最初、駅?って思ったんですが、
人身売買が問題になっているからなんですね。
その時点でかなりの衝撃。
 
続いて、ネットやテレビで探しますが、
どうしても子どもを探し出したいという気持ちを利用して、
騙して金を巻き上げようとする輩も何人も現れる。
何でもかんでも、カネ、カネ、カネです。
しかし、子どもはみつからない。
 
そして、協力的な刑事が現れたり、
被害者の会で同じ苦しみを持つ仲間に出会えたりして、
ついに子どもを見つけだします。
 
しかし、ここからです。
 
子を奪われた側は、
一瞬にして、子を奪う側になります。
 
切ないです。
迎えに来たのに、
喜ぶどころか、
「おっちゃん、だれ?こわいよう、ママ―」状態。
 
生んだ子であれ、
拾った子であれ、
誘拐した子であれ、
そばにいて、
育ててくれた人が親です。
 
子を追いかけて大爆走する役者たちの目が本当にリアルです。
 
しかし、劇中では誘拐犯である、リーホンチンの
夫の素性が明らかにされません。
誘拐した時の防犯カメラと、
死んでしまっていたので、遺影が一瞬映るだけです。
動機も明らかにはされません。
 
それが不思議なんです。
貧しくてどうしようもないという描写もないし、
農村でどうしても男の子が必要という描写もない。
だからこそ、観るものも、
見えない誘拐犯を追いかけているように感じてしまいます。
 
中国の闇とか言ってしまえば簡単です。
実際、日本に生まれてよかった~って思います。
 
でも、どこで生きていようと
人間は人間です。
親は子どもを愛するけれど、
子どもにとっては、自分と長くいた人間が親。
愛情とは時間でもある。
人は人を、妬みもするし、
絶望もする。
嘘をつき、騙して裏切る。
そして、失った時間は取り返せない。
 
そういった悲哀がいっぱい詰まった映画です。
是非見てほしいと思います。
 
こどもたちに心からの笑顔を。
では、また~。
 
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