言葉だけじゃたりない?!

日本語教師わかばの綴る日常のあれこれ。映画や本について書くことが多いです。たまに旅行記やアウトドアも。

本No37【窓の魚】一枚の絵のような小説

わたしは今年の5月から、

一人で小説キャンペーンを行っております。

というのも、最近読む本が偏っているなぁと思っていまして。

語学系と啓発系がどうしても多くなってしまうので

バランスをとるわけじゃないですが、小説をがしがし読もう!

と決意したわけなのです。

 

こんばんは。

わかばです。

 

窓の魚

とはいうものの、なかなか読み進められないのですけどね。

でも、いったん波に乗れば、わりとすんなり読めます。

今日は西加奈子です。この作家の本を読むのは初めてです。

本屋でうろうろしていたときに、

帯に「ピース又吉が愛してやまない20冊」とあり、

それが目に入っての購入です。

窓の魚 (新潮文庫)

窓の魚 (新潮文庫)

 

 ハルナ・トウヤマ・アキオ・ナツの男女4人で温泉宿に行く話。

一応、ハルナとトウヤマ、アキオとナツがカップルなのだけど、

そこは、それぞれの過去と現在が交錯し、

それぞれの色があり、それが混ざり合って、

まるで一枚の絵画のような小説です。

 

絵のような小説

ほんと、なんというか、ザ・芸術って感じの小説で、

こんなの初めてだなぁって思いました。

たった一晩の温泉宿での出来事を、

4人ひとりひとりの目から見た語りになっています。

まぁ、それを映像で見せられるとダルく感じるでしょうが、

小説なので案外楽しめました。

「あれ?この場面、ナツはどう思ってたのかなぁ」とか。

わざわざ、戻りたくなったりして。

 

ハルナ

ハルナは第一印象では今どきの頭の空っぽの明るい女の子だなって

思わせるのですが、彼女の闇は見た目でして・・・

美しくない母親を呪いながら生きていて、

整形をする・・・しかも、母親はそのために

パートをしてお金を工面してやっていた。

ナツの自然な美しさに嫉妬し、トウヤマに整形だと

バレたらどうしようかと戦々恐々とするんですが・・・。

なんか、「整形ネタ」もうお腹いっぱいです。

最近は小説も映画もマンガも整形ネタであふれていて

「もう、いいよ」って思ってしまいます。

あいだみつおさんも言ってるじゃないですか。

「美しいものを美しいと思えるあなたの心が美しい」って。

 

アキオ

アキオもね、こじらせ系男子なんです。

実は、子どものころから体が弱くて、

というもの母親が病弱で、弟も生まれてすぐに亡くなって・・・

という背景を抱えた男子です。

それで、「僕こんな感じで育ってきたので、

女の子とセックスもできなくて・・・

みっともないでしょ。不幸でしょ。」みたいなノリなんですよね。

もう不幸自慢させたら天下一品です。

アドラーを読めよ!」と一喝したくなるくらいです。

「過去が君を作るのではない、君が過去にどういう意味を与えるか、です。」

とか言って説教したくなります・・・。

 

西加奈子の日本語

外国育ちの著者なはずなのに、

その表現の美しさには思わず「スゴイ・・・」とうなりました。

冒頭から

バスを降りたとたん、細い風が、耳の付け根を怖がるように撫でていった。あまりにもささやかで、頼りない。

という感じです。西加奈子の日本語が今後も読みたいとは思いました。

 

アートとしての物語

猫はいないのに、聞こえる猫の泣き声とか

内風呂の水槽で泳ぐ鯉とか

トウヤマの煙草とかいろいろと意味するものがあるのでしょうが、

それが、何を意味しているのかさっぱりわからないし、

考える余裕もないのだけれど、

わからないを愉しむということはできるのかもしれません。

 

あなたの窓にも魚を。

では、また~。

 

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