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映画No61【手紙は憶えている】戦争の記憶は未来永劫、消えることはないことを教えてくれる映画。

土曜日の午後。

わたしはPCに向かってモクモクと書いております。

いろいろと書きたいことがたまっています。

 

こんばんは。

わかばです。

 

手紙は覚えている(カナダ・ドイツ合作/2016)

今日は5日ほど前に観た「手紙は覚えている」を紹介します。

予告編で観たいなぁと思いつつ、観るのを忘れそうになっていました。

もう終わりかけだったんですが、急いで観に行ってきました。

『手紙は憶えている』予告編

監督:アトム・エゴヤン

主演:クリストファー・プラマー

あらすじ:

90歳のゼヴ(クリストファー・プラマー)は、妻を亡くしたことさえ忘れるほど物忘れが進んでいた。ある日、彼に友人マックス(マーティン・ランドー)が1通の手紙を託し、家族を殺したドイツ人兵士への復讐(ふくしゅう)を依頼する。自分と同じくアウシュビッツ収容所の生き残りで体が不自由な友人のために、ゼヴは単身でリベンジを果たそうとするが……。

(Yahoo映画より)

※核心に触れずにネタバレしています。

衝撃のラスト

予告編でも使われている「衝撃のラスト。」というフレーズ。

最近いろいろな映画でちょっと使われすぎじゃない?って思っていました。

だって、そんなに「衝撃」じゃないこともありますし。

たとえばコチラ→映画No47【FAKE】ひょっとするとこれもFAKEかもしれない。 - 言葉だけじゃたりない?!

「FAKE」が衝撃度30%だとしたら、こちらは衝撃度80%はある感じです。

そして、その衝撃がビジュアル的な衝撃ではなく、ミステリー的な衝撃です。

今回は最後の衝撃に触れませんので、是非みてみてくださいね。

 

認知症

主人公ゼブは90歳、認知症を患い高級そうな老人ホームで

妻の名を呼びながらうなされつつ、

目覚めるところから映画はスタートします。

目覚めると妻がいないので、びっくりして部屋を飛び出すと、

「奥様は1週間前にお亡くなりになりました。」

と礼儀正しいスタッフに諭されます。

ゼブは妻を亡くして以来、いっそう認知症が進んだようです。

 

手紙と使命を託される

ゼブはユダヤ教徒。亡くなった日から7日間は

シヴァという喪に服す期間があります。

その7日間の終わりの日。

同じ老人ホームに住むマックスに呼び出されます。

マックスはゼブと同じくアウシュビッツを生きのびたユダヤ人。

右腕には5ケタの囚人番号が刻まれています。

二人の家族を殺した収容所の責任者が

「ルディ・コランダー」の名でアメリカに渡り、今も生きている。

「そいつを殺して、家族の仇を討て。」と言われます。

その時、手紙を渡されます.

マックスは70年前の経緯、容疑者の住所、そこまでどうやっていくか、

などなどすべてをそこに書き込んでいました。

 

復讐の旅の始まり

認知症のおじいさんが老人ホームを抜け出し、

明らかに殺人の意志をもってウロウロするわけですから、

ヒヤヒヤしないわけはありません。

そういう意味でこの映画は手に汗握る映画でした。

列車にのれば、隣の男の子にやさしく話しかけたかと思えば、

転寝して目を覚ました瞬間「ルース(妻)はどこだ?どこだ!?」

と騒ぎだす始末です。

仇討をするわけですから、武器がないといけません。

マックスはゼブがちゃんとピストルの店に行けるよう手配しておき、

ゼブは小型のピストルを手に入れます。

認知症のおじいさんがピストルをもってウロウロするわけですから、

もうこれはちょっとホラーの域なのかもしれません。

 

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/26/60/357968_006.jpg

ルディ・コランダー

ルディ・コランダー、本名オットー・ヴァリッシュは簡単には

見つかりませんでした。

ゼブの旅は続きました。アメリカからカナダ、カナダからまたアメリカへ。

バスに乗り、列車に揺られ、本当のルディ・コランダーを殺すために。

自分が何をしているのかわからなくなると、ゼブは手紙を読みました。

ある時、喫茶店のウエイトレスが手紙の上にコーヒーをこぼして、

ぶち切れしていましたが、「こんなおじいさんよくいるいる!」って思いました。

さて、ゼブの家族はどうしたかというと、警察に被害届をだしたものの、

ゼブは行方不明。ある時、ゼブが交通事故に遭い、病院に担ぎ込まれます。

それでようやく家族はゼブの居場所を突き止めるのですが、

ゼブは家族に来るなといい、その後、再びルディ・コランダーを探し続けます。

 

戦争の記憶

 そうして、やっとルディ・コランダーはみつかります。

しかし・・・!!

というところが、この映画のクライマックスです。

ピストルをもった認知症のおじいちゃんの旅に

ヒヤヒヤしながらつき合わされ、最後の最後で大どんでん返し(←古い?)

のあるストーリは目が離せなくて、映画として最高だと思います。

それだけじゃなく、戦争、アウシュビッツ、復讐といったものの爪痕を、

当時の回想シーンをほとんど使わず、写真やストーリーテリングだけで、

観客の心に残す脚本も力があります。

 

おわりに

戦争の痛みは何年経っても消えるものではありません。

それどころか、年をとるごとに大きくなってゆくもののように思えます。

ある者は、それを下の世代に語り下の世代がその傷を受け継ぐこともある。

人間の「記憶」とは、その後の人生の中で、

濃くなったり薄くなったりしながら、

その人の「現在」を作っているものなのだと思いました。

 

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/ae/c2/357968_004.jpg

 

あなたの忘れられない記憶は?

では、また~。

 

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