言葉だけじゃたりない?!

日本語教師わかばの綴る日常のあれこれ。映画や本について書くことが多いです。たまに旅行記やアウトドアも。

シネマ歌舞伎【女殺油地獄】生きること、それ自体がそもそも地獄

昨日は11時に就寝したところ、

5時に目が覚めましたので、

これを書いてます。

まわりは嘘のように静かです。

 

おはようございます。

わかばです。

 

先日、シネマ歌舞伎を観に行ってまいりました。

歌舞伎の通で、ニザ様(片岡仁左衛門)推しの友人が

激しくオススメしていた演目です。

 


シネマ歌舞伎『女殺油地獄』

読み方は「おんなごろしあぶらのじごく」です。

すごいタイトルです。

 

あらすじはこんな感じです。

複雑な家庭環境に生まれたことから、荒れた生活を送る与兵衛(片岡仁左衛門)。実家の油屋河内屋の金を持ち出して遊んだあげく、借金も積み重なっていた。両親は同業のお吉(片岡孝太郎)に頭を下げて金を借りてくれるが到底足りず、今度は与兵衛がお吉のもとを訪れる。しかし、お吉が金を貸すことを拒否したため、与兵衛は逆上してしまい……。

(Yahoo!映画より)

 

野崎参り

この演目は3つの場面に分かれておりまして、

一つ目は野崎参りの場面。

河内屋与兵衛のチャラ男ぶりが存分に描かれています。

しかも、馴染みの芸妓お菊をめぐってケンカして

通りがかった武士に「次は斬り捨てるぞ!」と言われる始末。

ここで同業の油屋の豊嶋屋のお吉が現れて、

ぼろぼろになった着物を繕ってくれます。

お吉というのは、チャキチャキのしっかり者。

夫の商売を支え、子どもを育てるよき家庭人。

 

河内屋にて

金にだらしない息子与兵衛に

父徳兵衛が頼りない説教をする場面です。

与兵衛があまりにもひどいので、

妹おかちに婿をとらせて家をついでもらうと宣言します。

そんな与兵衛の妹おかちは病がちで床に臥せっています

与兵衛はそんなおかちを思いやるばかりか、

憑き物が憑いたふりをさせて河内屋を自分のものに

しようとします。ひどいよ!

母おさわも登場し、みんなで与兵衛をdisり、

ついには家を追い出しました。

「こんな家、出て行ったるわい!」と飛び出したはよいものの、

寂しげで不安げな表情の与兵衛を、

泣きながら見つめる父徳兵衛。

徳兵衛はもと番頭で、先代徳兵衛がはやくに亡くなったので、

その後を継いだのでした。

父徳兵衛は先代徳兵衛にあまりにも似ている与兵衛を

無下にできないのでした。

 

豊嶋屋にて

さて、借金に困った与兵衛は、

豊嶋屋を訪れてお吉に金を貸してくれるように

いろいろな手を使って頼みますが、

特に色仕掛けで

「いっそ不義にならへんか……」とか

そこらの主婦なら不義になってしまいそうですが、

しかしお吉は断固拒否!

カッとなった与兵衛は

油まみれになりながら、お吉を殺害し、

金を持ち出して逃げます。

この場面の人を殺すときの

あの与兵衛の目つき。

こちらまでゾッさせるにもかかわらず、

目をそらせなくなってしまう、

地獄を生きる人間にしか持ちえない

それはそれはおそろしい表情でした。

 

地獄

原作は300年前の近松門左衛門の世話物です。

フラフラしている与兵衛も

頑張って女将をやってるお吉も

全然違うように見えて、

実は同じ人間で、

ともに地獄を生きていたということですね。

なんだか、歌舞伎を観終わってそんな風に感じました。

生きることそのものが地獄、

とタイトルにも書いたような言葉が浮かんで来たのです。

油まみれになりながら、

お吉は何を守ろうとしていたのか?

刀を握りしめて、

与兵衛は何を殺そうとしていたのか?

そこには金やお店だけではなく、

どうしようもないほどに

肥大化してしまった自分がいたにちがいありません。

そんな自分を殺そうとしていたのではないかという考えが、

与兵衛の寂しげでおそろしい表情とともに浮かんできました。

 

月イチでシネマ歌舞伎を。

では、また~。

http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/images/女殺油地獄 表記なし.jpg

 

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