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映画No75【海は燃えている】シチリア海峡で起こる悲劇!観ることで考えさせられるとはこのこと!

ドキュメンタリーってこんなだったっけ?

社会的でありながら、牧歌的。

詩的でありながら、悲劇的な映画。

今、観ておいてよかったです。

 

こんばんは。

わかばです。

 

海は燃えている(2016/イタリア・フランス合作)


『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~』予告編

監督:ジャンフランコ・ロージ

あらすじ:

 イタリアのランペドゥーサ島で暮らすサムエレ少年は、友人と遊んだり、祖母やおじさんと過ごしたりして平和な日々を送っている。だが、彼が暮らす地中海に浮かぶ島には、ここ数十年の間アフリカや中東からの移民や難民たちが押し寄せていた。彼らはみな平穏で自由な暮らしを望むごく普通の人々で……。

(Yahoo映画より)

 

オススメ度 ★★☆☆☆(2.8) 

以下ネタバレがあります!

 

ぼくたちは生きている。悲劇のすぐそばで。

このコピーすごいです。

この映画をみたあとで、いろいろ考えながら、

ロビーにでました。

そこに貼ってあったポスターのこのコピーを見た瞬間、

なんだか腑に落ちるものがあったんですよね。

とくかく、映画はランペドゥーサ島の二つの顔を、

なんの説明もなくひたすら写し続けるんです。

二つの顔というのは、アラブ諸国からの移民が

到達する島であるということ。

もう一つの顔は何の変哲もない穏やかな漁師町だということ。

つまり、ひとつが悲劇で、ひとつが日常であるということです。

 

イタリア最南端の島、ランペドゥーサ島

移民の玄関口となっているこの島は

住民5000人ほどの漁師町です。

この島の住人で出てくるのは12歳のサムエレ君、

そのお父さん、おばあちゃん。おともだち。

サムエレ君はパチンコが大好き。

といっても日本のパチンコではなく、

二股に分かれた枝の先端にゴムをつけて、

小石を飛ばして遊ぶものです。

目が悪くなって最近は、上手く獲物を狙えないのが、

悩みのタネ。

お父さんはサムエレ君が自分のあとをついで

立派な漁師になってくれるように願っています。

おばあちゃんの作るパスタはまじで美味しそうです。

日本でいうならば、Drコトーがいそうな島なんです。

 

日常と悲劇、かすかに交わるその瞬間

ラジオDJ、老夫婦、そして、お医者さん。

ラジオDJはこの島の住民からリクエストを受けて、

イタリアン演歌をひたすら流す一方で、

「今日は密航移民船が沈没して、〇〇人が救助され、

 〇〇人が亡くなりました。」

というようなニュースも読んでいる。

それを島のおばあちゃんが料理をしながら、

聞いていて、「ひどいね」とつぶやいている。

悲劇と日常の両方をしっかりと目撃しているのは、

島のお医者さん。

言葉の壁に格闘しつつ、疲れ切った妊婦を励ましたり、

死体検分をすることに絶望しつつも

「人間の使命だからね」とこの問題から

目を逸らさない。

だけど、その目は悲しみに溢れている。

これは演技ではなく、現実。

なんという現実……。

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航海に耐えない船で命をかけて海を渡る

小さな船に、もう信じられないくらいの人が乗り込んでいました。

ほとんどが女性と子どもです。

足の踏み場どころか、人と人の間に一ミリも隙間のないくらいに、

つめつめで座っていて、そのまた下の船室にも人々が

すし詰めになっていて、そこはエンジンのすぐ横で、

すごく暑くなってて、イタリアについたときには、

30人くらいが死んでいたとか、

もう、狂ったように叫び続ける人とか、

国を聞いても何も答えられない人とか、

ただ、涙をながすおばさんとか、

もう、日常って何ですか?将来って何ですか?くらいの状況って、

やっぱり日本人には到底理解できないことだと思いました。

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想像すること、考えることに意味がある

だからといって、関係のないハナシなのではなくて、

それを見て、「日本はどうなのかな?」って

想像することに意味があるし、

国家予算を使って、何人もの移民を救い出す

ということはどういうことなんだろうか?とか

「人間の使命とは?」というあのお医者さんの言葉の

真の意味を考えることにも、大きな意味があると思いました。

「大切なのはこれですよ」って、

いかにもなメッセージを送ってくる映画もあるけれど、

この映画みたいに、ただこんな現実がありますよ、

それであなたはどう考えますか?

という映画ほど、いい映画はないなぁと思いました。

 

ドキュメンタリーもたまには。

では、また~。

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/2f/cd/358094_004.jpg

 

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