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映画No77【ヒトラーの忘れもの】戦争の後始末をする少年と憎しみを増大させ続ける大人

戦後70年を過ぎても

新たに描き続けられる第二次世界大戦。

私たちの心の中でこの戦争は終わっていないことを

改めて知らされます。

 

こんばんは。

わかばです。

 

ヒットラーの忘れもの(2015/デンマーク・ドイツ合作)


映画『ヒトラーの忘れもの』本予告篇

監督:マーチン・サントフリート

主演:ローランド・ムーラー

あらすじ:

 

ナチスドイツが降伏した後の1945年5月、デンマークの海岸にドイツ軍が埋めた地雷を撤去するため、ドイツ兵の捕虜が投入される。まだ幼さの残る10代の少年兵たちを監督するデンマーク軍軍曹ラスムスン(ローランド・ムーラー)は、徹底して彼らをこき使おうとする。だが、少年兵たちは誤爆や撤去作業の失敗で次々と命を落とし……。

 (Yahoo映画より)

 

オススメ度  ★★★☆☆(3.7)

以下、感想、ネタバレがあります

 

ヒットラーの忘れものとは?

2017年のアカデミー外国語映画賞にノミネートされた作品です。

そして、英題は「LAND OF MINE」

「わたしのものである土地」ですかね?

わたしたちの土地に地雷という悪魔の兵器を埋めた

ナチスドイツに対する憎しみともとれるし、

わたしたちの土地に生きて帰りたい

ドイツ兵の希望であるようにも思います。

そして、邦題の「ヒットラーの忘れもの」というのは、

まさしく少年兵が強制されてその撤去作業に従事させられる地雷です。

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怒り、憎しみ、復讐心

まぁ、ナチスドイツが行った非道な罪に対しては、

映画を観ている者だれもが知るところ。

そして、ドイツ降伏後のデンマークで、

主人公であるラムンセン軍曹は、すべてのドイツ兵に対して、

怒りと憎しみをあらわにします。

そして、地雷撤去をするドイツ少年兵の監視役になります。

食事も与えず、粗末な小屋に押しこめカギをかけ、

ひたすらに地雷撤去をさせます。

少年兵たちは食糧を調達するために、

近隣農家の家畜のエサを食べたりして、

集団食中毒になったりします。

農家のおばさんも「ざまあみろ」といった感じで、

ドイツに対する憎しみがいかに深いかがわかります。

 

希望を捨てない少年たち

そんな憎しみを一心に受けながらも、少年たちは、

「帰ったら何食べたい?」とか

「誰に会いたい?」とかそんな話をして、

帰れるんだ!と信じているところが無邪気で涙を誘います。

そして、そんな少年らしい雑談の直後に、

地雷が爆発してしまい、何人かの少年たちが命を落としてしまいます。

手足を吹き飛ばされた少年は「ママ、痛いよ!助けて!」と叫び、

彼の死の間際にその幼さを自覚したラムンセン軍曹も、

心が揺らぎ始めます。

軍曹は、その子を病院へ送りますが、間もなく死亡。

しかし、ほかの少年兵に希望を持たせるために、

「彼はドイツへ帰った」と告げます。

 

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揺れ動く軍曹の心

軍曹は、少年たちの姿がさすがにかわいそうだと思ったのか、

食料を与え始めます。それから、すこしずつ絆が芽生えはじめます。

ついには少年兵を名前で呼ぶようになります。

しかし、ある事件をきっかけに、

軍曹はまたしても、少年兵を信じなくなります。

その時は、軍曹に対して「あんたの良心ってそんなものなんですね」

と言いたくなりました。

最終的に軍曹が監督していた子どもたちは13人から4人になります。

 

軍曹の決断は?少年たちの最後は?

軍曹は、少年兵たちに「任務が終われば帰してやる」と言い続けます。

そして、彼らはその言葉を信じています。

軍曹は少年兵たちとの約束を守れるのか?

最後の最後で軍曹は、軍曹はやはり憎しみを水に流しきれないのか?

それとも、少年たちとの絆を信じることができるのか?

そこが焦点になっていると思います。

 

この映画で感じたこと

「憎しみとは個人に対するものではなくて、

ある集団に対するものだ」

と何かで読んだ記憶があります。

ドイツに対する憎しみが、

個人に対する理解に変わる時、

軍曹はとても優しい表情になっていました。

しかし、映画の中の軍曹を通して、

その理解も長く続くものではなく、

またすぐに憎しみに変わってしまう人間の

定まりきらない弱い心というものも

見せられたように思います。

そして、弱い心を隠して力で

他を征服しようとすることは、

とても醜いことだと感じました。

 

大人の醜い心が起こした戦争の後始末を

淡々とする少年兵の清々しさと

憎しみに心をかき乱されている大人の

愚かさが対照的な映画でした。

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GWは映画を。

では、また~。

 

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