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読書感想【騎士団長殺し】すべての人はいつまでも未完成

入院中は本を爆読みしてました。

何の本を読んでいたかといいますと、

村上春樹の「騎士団長殺し」です!

こんばんは。

わかばです。

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

率直な感想を言うと、

ストーリー自体を純粋に楽しめた作品でした。

登場人物のセリフにも

心を打たれるものが多くて、

ツイッタ―にめもしながら

読みました。

お得意の比喩も

ユーモアの域に達していると思われて、

クスッと笑えます。

残念なところを言えば、

数々の伏線をもう少し拾ってほしかったな~

と思います。

 

今回は読書感想中心で、

ネタバレしません!

なので、ぜひ読んでみて下さいね!

 

あらすじ

この物語は一人称で語られます。

一人称がどうとか三人称がどうとかは

ここでは省きますね(よくわからないだけですが)。

 

私は、妻と一緒に暮らす肖像画家。

自分が肖像画を描きたいわけではないけれど、

食べていくために肖像画を描いている。

妻は建築事務所で働いている。

妻とは夫婦生活をしなくなった。

そして、妻は男をつくって出て行った。

私はショックを受けて東北や北海道を

車を借りて回った。

その後、友人の雨田政彦に小田原にある家を借りる。

空家だから、管理しながら住んでほしいというわけだ。

そこは雨田政彦の父である有名な画家、雨田具彦の

アトリエ兼住居だった場所だった。

雨田具彦は認知症を患い、伊豆の老人施設にいた。

私は雨田具彦の家での近くに住む

免色渉(めんしきわたる)という不思議な人物に出会い、

彼の肖像画を描くことになる。

そのあたりから、不思議なことが起こり始める……。

 

というようなストーリーです!

 

肖像画を描くという行為

私(主人公)は肖像画を描くにあたり、

モデルを座らせて書くということをしません。

一度、モデルに会い、いろいろなことを話して、

モデルの人となりみたいなものを理解したうえで

絵を描くという手法をとっています。

 

そのことが、人間の内面と外面は

つながっているということだと思いました。

モデルを見ながら描くというのは、

外面だけをみているということで、

話してから描くというのは、

その人の外面も内面も自分の中に

落とし込んでから、自分というフィルターを

通してから表現することです。

それは、とりもなおさず、

普段の生活の人間関係を表しています。

例えば、わたしが人とつきあうときは

わたしの目からみたその人がいるわけです。

その人は、その人でありながら、

そのままのその人ではなく、

わたしの成分がいくらか入っています。

逆に考えると、純粋なわたしというものは、

どこにもなくて、(または、あってもどこにあるかわからず)

常に、他人のフィルターを通したわたしが、

今、現在いるということです。

 

顔のメタファー

作中に顔のない人物がでてくるのだけど、

それは、誰とも交わらない人間の暗喩

なのではないのだろうかと思いました。。

誰とも交わらず、地中にもぐりこんで、

ただ自分と向き合っている時間。

自分には顔がないのではないだろうか。

だけど、地中からでてきて、

他人とまじわると顔ができる。

他人から見た自分という「顔」が。

なぜならば、自分は自分の顔をみることが

できないのだから。

そういう意味で、

他人と出会うことで、

人は自分を作っているといえるし、

それは、死ぬまで終わりがないことなのだ。

だから、どんなに立派に思えるような人でも

完成するということはないし、

すべての人はいつまでも未完成だという

作中のセリフは、

胸にせまってくるものがある。

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

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騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

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あなたはどんな顔?

では、また~。

 

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