言葉だけじゃたりない?!

日本語教師わかばの綴る日常のあれこれ。映画や本について書くことが多いです。たまに旅行記やアウトドアも。

創作童話【ある森のお話】きみはぼくにはない翼を持っている。だから、どこへでも行けるんだ。

これ、飲んでみました。

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1週間、お疲れ様でした。

週の初めに風邪をひいてしまい、

なんだか、すっきりしない1週間でした。

でも、とりあえず今日でいろんなことが一段落。

こちらのチューハイで晩酌しました。

スッキリした甘さで飲みやすかったです。

明日からはしばらくお休みなので、

自分のやるべきことをやっていこうと思います。

 

こんばんは。

わかばです。

 

なかなか、映画も観に行けないし、

かつ、本も読めない日々が続いているので、

今日は小さな物語を創作してみました・・・。

お恥ずかしい限りですが、

読んでくださるとうれしいです。

 

わかば著 「ある森のお話」

 

あるところに深い森がありました。

その森では動物たちが、一見、仲良く暮らしていました。

 

この森のリーダーはライオン、たてがみの美しい心のやさしいライオンです。

それから、次にえらいのは虎です。この虎はあまり話をしないので、

本当は何を考えているのか全然わからない虎でした。

つぎにえらいのはくまです。くまはよく本を読む頭のいいくまでした。

さいごにえらいのはきつねです。きつねはあることないことよく話すので、

他の動物はだれもきつねを信じていませんでした。

それから、森にはたくさんのことりたちが住んでいました。

 

ことりたちの仕事は歌うことでした。

ことりたちは毎日毎日、

森の動物や、ことりの仲間のために歌っていました。

あるとき、虎は一羽のことりに

「おまえの歌はへたくそだ!」と言いました。

一羽のことりはそのとき、何も言いませんでしたが、

それから、歌うことをやめました。

虎はなぜ、そんなことを言ったのでしょう。

 

それは昨日、虎が獲物を探しに出かけたのですが、

まったくといっていいほど獲物をとることができなかったのです。

それをライオンは見ていました。

ライオンは虎に獲物をわけてあげたのですが、

虎はそれをうれしく思わなかったのでしょう。

虎は、他の動物にやさしくされたりすることが苦手なのです。

だから、ことりのうたがやかましく聞こえたのにちがいありません。

 

その様子をくまは洞穴のなかから、そっと見ていました。

くまは他の動物と仲良くしようとしませんでした。

いつも、洞穴で本を読んでいました。

ことりの歌もまったく聞いていません。

ことりはくまが歌を聞いていないことを知って、

わざわざくまのほらあなの近くまで行って歌いましたが、

くまはしらんぷりでした。

 

そんなくまにキツネは

「ことりがくまのために歌っているのだから、

 『ありがとう』くらい言ったらどうだ。」

と注意しました。

くまはそのときは小さな声で「ありがとう」と言いましたが、

心から思っていたわけではありませんでした。

歌うのをやめたことりは、

「心からの言葉でなければ、『ありがとう』なんて、

 言ってもむなしいだけだよ。」

とキツネに言いました。

キツネはことりのほうをチラリとみただけで、

大きなしっぽを揺らして、行ってしまいました。

 

ことりは悲しくなりました。

この森ではどんなに歌をうたっても、

なぜか喜びを感じることができなかったからです。

ことりは考えました。

「他の森へ行けば、心から楽しく歌うことができるのだろうか。」

ことりはわからなくなりました。

なぜって、生まれてから今までこの森をでたことがないからです。

 

ことりが思いつめていると、くまが洞穴から出てきました。

「世界は広いんだ。きみが歌う森はこの森だけではないんだよ。

 きみはぼくにはない翼を持っている。

 だから、どこへでも行けるんだ。」

くまはことりにそう言いました。

ことりは自分の目からはじめて、

涙がでていることに気がつきました。

 

次の日、ことりはもういませんでした。

ことりがいないことに気がついたキツネが

「ことりが逃げた!ことりが逃げた!」

と騒ぎ立てましたが、だれも相手にしていませんでした。

くまは洞穴のなかで、一人静かに涙を流しました。

虎は自分の獲物のことを考えていました。

ただライオンだけがまだみんな眠っている時間に

朝焼けの中をひとり飛んでいくことりを見送ったのでした。

 

おしまい。

 

眠れない夜にお話を。

では、また~。