日本語教師わかばの教え方がうまくなるブログ

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映画No35【ぐるりのこと。】人が何を考えているか、ほんとのほんとはわからない。

日本語を教えていて、

「テストも終わって、このコースも終わりなので、

 何かビデオでも観ましょうか?」っていう時、

初級の終わりのほうなら、必ず観るのが

リリーフランキーの「おでんくん」です。

簡単な言葉でおもしろいです。

ディクテーションもできるし、

Q&Aにも適しています。

 

こんばんは。

わかばです。

 

ぐるりのこと。(2008/日本)

なぜ「おでんくん」の話かというと、

まぁリリー・フランキーだからで、

今日はリリー・フランキーのまんまの主演の映画を紹介します。

ぐるりのこと。

 

 

監督:橋口亮輔

主演:リリー・フランキー 木村多江

あらすじ:

1993年、何事にもきちょうめんな妻の翔子(木村多江)と法廷画家の夫カナオ(リリー・フランキー)は、子どもを授かった幸せをかみしめていた。どこにでもいるような幸せな夫婦だったが、あるとき子どもを亡くしてしまい、その悲しみから翔子は心を病んでしまう。そんな翔子をカナオは温かく支え続け、2人の生活は少しずつ平穏を取り戻してゆく。

(Yahoo映画より)

※以下、感想とネタバレがあります。

伝えられない、伝わらない。

伝わらないことって日常ですごくあります。

日本語話しているのに(もちろんネイティブ同士で)

全く理解されない時・・・。

そんな時、みなさんどうされますか?

もうね、どうにもできないと思うんです。

「ああ、そうですか・・・」って流すか、

「そんな人なんですね・・・はい、次。」って前に進まないと、

「なんで?わたし悪くないし?」ってなっちゃうともう

そこから一歩も動けなくなります。

「ちゃんとしたい」って思えば思うほど、

「ちゃんとできない」他人や自分に腹が立ってきます。

この映画ではそうやって病んでいく翔子を木村多江

「まじで?!」って思うくらいに演じていました。

泣き演技がすごいです・・・

木村多江といえば、ドラマ「白い巨塔」での演技が

神演技で、それ以来なんか好きです。

今は「とと姉ちゃん」ですね。そういえば。


ライバルはいても、友達もいません・・・ 【白い巨塔 名シーン】

 

人が何を考えているかはわからない。

映画の最初の方のシーン。翔子のお腹に赤ちゃんがいて、

「あ、動いた!」って翔子が笑います。すると、カナオが

「うれしいんだね。」って言うシーンがあるのですが、

そのとき、なんだか妊娠していたころの気持ちが

ぼわって蘇ってきて涙が出ました。私もうれしかったんです。

そこから、翔子は子どもをなくし、

長い長いトンネルを歩くことになるのです。

夫にもほんとの気持ちが言えず、母親にも言えず、

それでも仕事に行って頑張る姿がもう痛々しい。

でも、みんなそうだよなぁ・・・。

普通に生活して仕事して・・・に見えるけれども、

心の中ではすごく大きな傷を抱えていたりするものなのだと思いました。

 

嫌われてもいい。好きな人をめいっぱい好きになろう。

あるとき、翔子は思いのたけをカナオにぶちまけます。

「ちゃんとしたい」という翔子に

「嫌われてもいいじゃん。好きな人をめいっぱい好きになれば。」

と言うのです。

台風の夜のことでした。

それからは、二人でお互いの人生を切り開いてゆく

眩いほどの夫婦の十年の物語でした。

また、それと並行するようにして1993年から2003年までの

事件などを法廷で見せられるので、そういえばこんなことあったなぁ

と思いつつ観ていました。いろんなディテールがつながっていて、

「ああ、わたしこの時、あそこで働いてた」とか思い出させてくれるので、

自分も無関係ではないんだなって思いました。

 

おわりに

翔子とカナオの部屋にクモがいるのですが、

友達が遊びにきたときに「クモだ!キャー!」とかなっても、

翔子は「殺さないで!」っていいます。

結局カナオが殺してしまうのですが、

そういえば、先日、母も亡くなった父の話をしている時に

ブーンってハエが飛んできたのですが、

「お父さんかもしれん!殺さんと逃がしたって!」と言っていたのを

思い出しました。

 

虫は殺さずに。

では、また~。

 

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