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映画No44【火の山のマリア】グアテマラの悲しい現実とそこに生きる母娘を描いた映画

15年くらい前、アメリカのロスアンゼルスから、

メキシコを経てグアテマラまでバックパックの旅をしました。

メキシコからボートでジャングルの中の川を遡り、

グアテマラのフローレスという町に行きました。

メキシコとは何もかも違って、道も舗装されておらず、

銀行もなく、メキシコペソからグアテマラケツアルへの両替を

していなかったので途方に暮れた思い出があります。

 

こんばんは。

わかばです。

 

火の山のマリア(2015/グアテマラ・フランス合作)

今日はグアテマラ映画を紹介します。

中南米映画はわりと観ているほうだと思いますが、

グアテマラ映画は初めてです。

そんなんあったんかいな!ってほどの驚きです。

マイナー映画の悲しいところで、

公開が2週間しかなかったのですがなんとか見られました。

http://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/fc/79/354350_007.jpg

映画『火の山のマリア』予告編

監督:ハイロ・ブスタマンテ

主演:マリア・メルセデス・コロイ

あらすじ:

 17歳のマヤ人マリア(マリア・メルセデス・コロイ)は、グアテマラの活火山のそばで農業に従事する父母と一緒に生活をしていた。困窮にあえぐ一家はその解決策として、地主イグナシオ(フスト・ロレンツォ)にマリアを嫁に出そうとする。だが、マリアの心はコーヒー農園で働くペペ(マーヴィン・コロイ)にあり、彼の子供を身ごもってしまう。

 (Yahoo映画より)

※以下、感想、ネタバレを含みます。

 

グアテマラという国

とにかく、最貧国。電気や水道などのインフラが行き届かず、

マヤ人の先住民は大地主の土地で小作農をしている者が多く、

貧困にあえぐ生活をしています。

 

また、マヤ人、公用語であるスペイン語を話さず、

独特の言葉を話し、独特の習慣がある・・・

というのを90年代後半に聞いたのですが、

今もまったく変わっていないということですね。

それをこの映画は丁寧に描いていました。

そして、この映画は驚くべきことに

ほぼ全編マヤ人の言葉で構成されています。

 

マリア、よくない男にひっかかる。

そんな小作農一家の娘マリア。

大地主のイグナシオと結婚させられる予定でしたが、

アメリカを夢見るペペに思いを寄せています。

そして、「わたしをアメリカにつれて行って」

と言い、処女を捧げてしまいます。

それなのに!

ペペはマリアをおいて黙ってアメリカを目指すのです。

マリア……。

 

生命の火だ!母はそう叫ぶ。

マリアの妊娠に気がついたお母ちゃん。

それまでは、普通のおかあちゃんでしたが、

そこから、強さを発揮します。

嫁入り前の娘が他の男に孕ませられたというのに、

わりと冷静。パニくったりはしません。

「堕ろすしかないなぁ」とかいいながら、

うさぎ跳びみたいなことをさせ、

変な飲み物を飲ませます。

それでも、流産しないと悟るや、

「生命の火だ!この子は生まれてくる運命にある」と言い、

そこからは、なんとかしてマリアと赤ん坊を守ろうとします。

「この農場にはもういられんかもしれんね」などどいいながら、

それでも、風呂場でマリアの体を洗ってやり、

母親になる心得を話して聞かせたりするのです。

 

家族のため、ヘビに噛まれる。

その頃、農場にヘビがでて、作物を荒らすので、

マリア一家は困っていました。

母親から、妊婦は悪い物を追い払う力があると聞かされたマリアは、

自分の力で家族のためにヘビを追い出そうとします。

呪術師を読んで祈祷を始めますが、失敗・・・

マリアはヘビにかまれてしまいます。

このあたりの描写がすごく、ミステリアスでした。

もうもうとたちこめる煙、ひたすら唱えられる呪文。

そんな中、瀕死のマリアを抱いて、病院へ駆け込むお母ちゃん。

今まで冷静だったお母ちゃんは、そこで初めて感情をあらわにして

「マリア、いらんことさせてごめん。迷信を信じたお母ちゃんのせいや~。」

と言って涙を流します。

 

マリア、だまされる?

それで、病院へ行くんですが、

お母ちゃんは先住民なのでスペイン語が話せないのです。

これはグアテマラ社会では、

一人の人間として生きていけないことを意味します。

一応、通訳がつくんですが、

この通訳が適当に自分の都合のいいように訳すんです。

いいなずけのイグナシオも一緒に病院に来てくれて

「ええやつやん」って思ったんですが、マリア一家が

スペイン語を話せないことを利用して、

「子どもは死んだ」とマリア一家をだまします。

 

さいごに

切ない映画でした。

でも、あのお母ちゃんのおおらかさ、たくましさ、懐の深さを見ていると、

あぁ、たとえ嫁入り前に身ごもったとしても、

マリアは何も悪いことはしていない。

ただ自然の一部であるだけだって思えてきます。

 

どうでもいいけれど、

イグナシオが博多華丸さんにみえて

しょうがありませんでした・・・。

予告編の0:25くらいに出てくる人です。

 

あなたの地図にグアテマラを。

では、また~。

 

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