日本語教師わかばの教え方がうまくなるブログ

日本語教師わかばのことばにまつわるあれこれ。ライターもやってます。旅行と映画と本が好き。

第8回あきらめ会終了!搾取とブラック労働とパワハラについて考える

第8回のあきらめ会を行いました。

告知ブログを更新するのを

すっかり忘れておりました。

まさにシ・ワ・スな12月を迎えておりますが、

みなさま、いかがおすごしでしょうか。

 

こんばんは。

わかばです。

 

さて、今日もこちらの本のなかにある

3つの短編を読みました。

新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)

新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)

 

 

オツベルと象

 

この物語は牛飼いが語る形式になっています。

オツベルという強欲な資本家が、

白象を働かせ、酷使します。

サンタマリアに祈るしかない白象は日に日に弱っていきます。

その一部始終を見ていた月は、白象に助けを送ります。

象の仲間が白象を助けに来て、オツベルを殺してしまいました。

白象は最後に「ほんとうにたすかったよ」といって

寂しく笑ったというお話です。

 

今いうブラック労働をモチーフにしているかのようです。

お人よしの白象はオツベルにいいようにされていきます。

しかし、月が動き出して形勢が変わります。

白象は「助けてくれ」と声をあげます。

白象だけでは戦えないけれど、仲間がいれば話は違う。

オツベルを殺す象たちはさながら労働組合のようでした。

自分の労働環境を変えたければ、声を上げるべきなんだな

と思いました。

 

カイロ団長

 あるところにみんなで楽しく働いていたあまがえるがいました。

あまがえるはとのさまがえるのウイスキーの店に入ってしまったが最後、

たくさん飲まされて、法外な支払いを要求され、

払えないとわかると奴隷労働をさせられるという話です。

来る日も来る日も理不尽な労働をさせられるあまがえるたち。

しかし、新しい王さまの命令が出ます

第一、人にものをいいつけるときはそのいいつけられるものの目方で自分のからだの目方を割って答をみつける。第二、言いつける仕事にその答えをかける。第三、その仕事を一ぺん自分で二日間やって見る。以上。その通りやらないものは鳥の国へ引き渡す。

 そうなると、とのさまがえるとあまがえるの

立場はついに逆転!

とのさまがえるは、今まで自分がさせていた辛い労働を

するはめになります。

そこで、また王様のご命令が!

すべてあらゆる生き物はみんな、気のいいかあいそうなものである。決して憎んではならん。

すると急にああがえるたちもとのさまがえるに優しくなりました。

とのさまがえるは

ああ、みなさん、私がわるかったのです。私はもうあなた方の団長でもあなんでもありません。私はやっぱりただの蛙です。あしたから仕立て屋をやります。

たとえ、悪いことをしても、

それを悔いて、改善すればいいという

賢治のメッセージが聞こえるようなお話です。

 

猫の事務所

これも労働問題をほうふつとさせる短編です。

猫の事務所には、いろいろな猫が働いていますが、

かま猫という猫がいました。

竈で寝ることからかま猫とよばれていますが、

煤で汚れて真黒なため、みんなから疎まれています。

この短編では、それは心が痛むようないじめをする

猫たちなのです。

そのいじめがあまりにひどいので

そこへ、獅子がやってきて 「この事務所は解散!」

といいます。

他の猫はうろたえ、

かま猫だけが未来を見据え、すっくと立ちあがる

という話です。

 

まとめ

賢治が見て、心を痛めていたであろう労働問題。

今の時代でも十分通じます。

というか、現在の状態をみて書いたの?

と思うほど。

 

「オツベルと象」はブラック労働をほうふつとさせるし、

「カイロ団長」はまさしく奴隷労働。

技術研修生の問題を思い出しました。

「猫の事務所」はパワハラ、モラハラ。

 

いつの世も働くということは一筋縄にはいかないものです。

だからこそ、賢治は理想郷を描こうとしたのかもしれませんし、

有名な詩「雨にも負けず」にも資本家にかかわらず、

一人で自然とともに生きる姿を美しく描いています。

 

物語の中には苦しい中にも

「新しい王さま」や「獅子」が出てきて、

苦しむ動物を救ってくれます。

 心ある誰かが見ていてくれることが希望です。

現実の世界でもそういう人がいることを願います。

 

また「カイロ団長」のどのさまがえるのように、

たとえ、よくないことをしていたとしても、

改心して善の道に進むならいいじゃないか……

 

そんなふうに感じた第8回あきらめ会でした。

 

今日は今年最後のあきらめ会を行いました。

もう8回になるなんて……

参加してくれた方々、ありがとうございます。

また来年もよろしくお願いいたします。

 

 

 

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