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映画レビュー【新聞記者】自分を信じそして疑いながらの感想

【映画レビュー/新聞記者】

 

巷で話題の政治映画「新聞記者」

皆さんはもうご覧になりましたか?

 

私は今日、やっとMOVIX京都にて

鑑賞してきました。

 

今回も相変わらずの予習は予告編だけ。

松坂桃李が出ている政治ドラマということだけが、

前提知識という状態で見に行って来ました。

 

劇場は金曜日の夜ということもあってか

小さな劇場は8割がた席が埋まっていましたよ。

 

今日はそんな映画「新聞記者」のレビューを書きます。

このブログでは核心に触れずにネタバレします

 

新聞記者(2019/日本)とは?

監督は?

原作は東京新聞記者の望月衣塑子の著書です。

監督は藤井道人で、彼は伊坂幸太郎原作の「オー!ファーザー」や

「幻肢」を撮っている人です。「幻肢」は予告編で観たいと思ったのを

思い出しました。

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主演は?

主演の内閣情報調査室の官僚を演じるのは松坂桃李。

いやあ、彼よく働いてますよね。どんな映画にも出ている印象です。

今までレビューした中のものだと、例えばこれがよかったですねえ。

www.wakaba-nihongo-writer.net

他にも彼が出ている映画はごまんとあります。

 

ヒロインは?

韓国の女優さん、シム・ウンギョンさんが

日本人の父、韓国人の母をもちアメリカで育った新聞記者の

役を見事に演じています。

Wikiで調べると、「サニー 永遠の仲間たち」にも

出ていたようですね。今度観てみよう!

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あらすじ

羊の絵

外務省からの出向で内閣情報調査室に勤務する杉原は

仕事のできるエリート官僚。

この日も、政権を批判する討論番組をチェックしながら、

政権に反対する人を社会的に窮地に追い込もうとしていた。

 

吉岡エリカは東都新聞の記者。

アメリカで韓国人の母に育てられた。

父(日本人)もジャーナリストで、

誤報を報じた上で亡くなった。

彼女は首相が内閣府主導で大学設立を進めていることを

不審に思い、その件の黒幕を暴こうと調べを進めていた。

 

ある日、羊の絵のFAXが送られて来た。

そこから物語はスタートする。

 

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/6c/2b/367194_001.jpg

ある官僚の死

ある日、外務省の北京日本大使館時代の上司の神崎から

連絡があり、久しぶりに一緒に呑むことに。

神崎は、5年前のある事件でやってもいないことの

責任を一心に背負い、今は閑職に追いやられていて、

その窪んで虚ろな目からは

神崎が何かに絶望していることが感じられた。 

そして、神崎は杉原に電話をかけ、その後自殺する

 

ヨシオカとの出会い

神崎の通夜。

ヨシオカはマスコミに囲まれる神崎の妻と娘をみて、

記者を戒める。

ジャーナリストの父を自殺で亡くしたヨシオカは、

その時、マスコミに執拗に質問された嫌な記憶があり、

神崎の娘と自分が重なったのだ。

そんなヨシオカの様子をみていた杉原は

彼女に話しかける。そこから二人が繋がり、

二人は大きな闇を暴こうと手を携える…

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/7d/7a/367194_005.jpg

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鑑賞後の感想

映画としての新しさ

とまあ、こんなストーリーです。

今まで政治をここまで生々しく題材にした日本映画は

見たことがなかったので、それだけで観る価値はあります。

 

しかも、レイプ事件(被害者の名前までそっくり)とか、

大学設立とかも出てきます。

今の政権を悪とし、その悪を暴こうとする二人が描かれています。

 

政権側である杉原の上司は

「この国の民主主義は形だけでいいんだ」

と言い放ち、なんだかそれを聞いてげんなりしました。

まあ、実際そうなんでしょうかね。

 

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/f5/d8/367194_007.jpg

 

もっとディテールを

この映画は1時間53分なのですが、

もう少し長くしてもよかったのでは?

なぜなら、もう少しもっと細かいところまで

知りたいからです。

それは観るものに委ねられているのかもしれないけど…

 

例えば5年前の事件ってなんなのか?

(モチーフになった事件があるのかもしれないけど思い出せない)

ヨシオカの父が自殺した原因になった事件とは何か?

そして、ヨシオカの母が韓国人でなければならない理由は?

 

ヨシオカが父のことを思うあまり、

時の政権に反感を持っているのは理解できるのだけど、

杉原が、自分のキャリアや家族を見放してまで、

新聞記者にネタを提供するのはどうして?

神崎のことがあったから?

そうだとしたら、もっと5年前の事件を

丁寧に描くべきじゃないかなあ。

 

俳優陣は素晴らしいの一言

そうはいっても、俳優陣の演技は観客を引き付けるのに、

十分すぎるほどでした。

ヨシオカ演じるシム・ウンギョンの佇まいは見惚れました。

クライマックスで、彼女が最後のスクープ記事を書くシーンは、

神々しささえあり、こんな風にものを書いてみたい

と心底憧れました。

 

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/b1/89/367194_006.jpg

 

また、劇中でなんども繰り返され、

ヨシオカを励まし続けるヨシオカの父の言葉

自分を信じ、そして疑え

はじんわりと心に響きました。

 

また、松阪桃李もエリートとしてのロボットのような顔、

父親としての顔、正義感のスイッチが入る顔、

ラストシーンの顔など、本当に引き込まれる表情というか…

表情というのは感情の表現であるのだな、などと

考えさせられたりもしました。

 

選挙を前にして

20歳で選挙権を得て、もう20年。

選挙に行かなかったことは、

1回か、2回だと思います。

私は私なりに政治について考えてきたつもりです。

日本語教師として、海外に行ったこともあったし、

毎日、海外の人と交わる仕事だから、

政治のことについても勉強して自分なりの

意見を持っているつもりでした。

でも、最近の世界情勢や日本の政治をみていると、

一回それをアンラーンして、

もう一度考え直す時にきているのかもしれないと感じています

その静かな一助にこの映画がなったことは確かです。

 

でも、沸き立つような正義感とか

震えるような怒りに見舞われる作品ではないです。

それはラストのなんともいえない中途半端さが

あると思うんですよねえ。

 

投票まではあと1週間ですが、

しっかり考えて一票を行使したいと思っています。

 というわけで政治に関心のある人もない人も

ぜひ一度見てください。

 

では、今日はこの辺で。

 

 

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