日本語教師わかばの教え方がうまくなるブログ

日本語教師わかばのことばにまつわるあれこれ。ライターもやってます。旅行と映画と本が好き。

映画レビュー【JOKER】あなたもわたしもJOKER

こんなことを呟きました。

 

やることいっぱいあるんだけど、

とりあえずMOVIX京都に行ってきました。

 

そしたらなんと、満席でした。

ギリギリで最前列の一番右の席に滑り込み。

 

祝日とはいえMOVIXみたいな大きいスクリーンが

満席になることってある〜?

とか思いながら、観てきました。

 

(ここからネタバレ含みます)

 

重苦しい映画だということは聞いていました。

そして実際、鑑賞後の感想としても、

とても重苦しく切なく悲しい映画なのですが、

どこかでスカッとしている自分がいることも

否定できなかったのです。

 

「あ、やばい。あれ観てスカッとしてる」

 

と思ったのですが、

その「スカッとさ」は時間が経つにつれて、

少しずつ大きくなってゆきました。

 

どこかに長い階段があったなら、

自分もJOKERばりに踊り出してしまいそうなのです。

 

では、なぜ自分がスカッとしたのか

考えていきたいと思います。

 

あらすじ

まず、簡単なあらすじを説明します。

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主人公の主人公のアーサーは、

病気がちな母親と二人で暮らしている

貧しいし、心も病んではいるけれど、

優しい青年です。

コメディアンに憧れる彼は、

ピエロの格好をしてPRなどをする仕事で

日銭を稼いでいました。

が、社会の底辺で生きる彼の身に起こる悲劇が

彼を追い詰めていく…

というストーリーです。

 

予告編はこちら


『ジョーカー』心優しき男がなぜ悪のカリスマへ変貌したのか!? 衝撃の予告編解禁

 

さいあくな同僚

映画の冒頭、ピエロ派遣センターのようなところで、

アーサーはピエロの格好で

販促PRをやっていたんですが、

タチの悪い不良に絡まれ、看板などを壊されます。

 

それなのに、ピエロ派遣センターのオヤジは

一方的にアーサーが悪いと決めつけて話も聞かずに

「看板返せ!返さへんかったらクビ!」

みたいなことをいいます。

こういう人いますよね。

ロクに話も聞かずにせめる人。

 

また、同僚の一人はアーサーに銃を渡します。

半ば押し付けるかのようにして渡したのに、

それが問題になるとアーサーが欲しがったとか

デタラメを言い出して、

アーサーに罪をなすりつけようとします。最低です。

 

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でもこのピエロ派遣センターには

小人病の同僚もいます。

彼はアーサーをいじめたりはしないのです。

しかし、最終的にアーサーはこの会社を

クビになってしまいます。

 

さいあくな親

 

アーサーは病気のお母さんを献身的に世話します。

お母さんは日々、前働いていた家のお金持ちに、

手紙を書いています。

 

わたしも息子も大変だから、

助けてほしいという内容で、

何度書いても、もちろん返事はありません。

 

だけど「今日返事きてた?」といつも聞くので

優しいアーサーはいつも帰った時、

ポストを確認しているのです。

 

ある時アーサーはふと手紙を読んでしまい、

市長が自分の本当の父親だったと知ります。

 

アーサーはその父親に会いに行き、

「僕の父親でしょ?抱きしめてくれるのが

 本当じゃないの?」といいますが、

冷たくされるどころか、殴られてしまいます。

 

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その後、驚くべき事実が明らかになりますが、

それはぜひ、劇場で確認してください。

 

 さいあくな社会

アーサーは福祉サービスのようなものを

受けています。

ケースワーカーの面談も何度も受けていますが、

最後に福祉サービス(生活保護のようなもの)を

打ち切られてしまいます。

そしてケースワーカーに

「あんた、俺の話、いつも聞いてないよね」と言います。

そう、社会なんて自分のことを考えてすらいないのです。

 

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また、夜中の電車で女性に絡んでいる

エリートサラリーマンも最悪です。

その時、乗り合わせたアーサーが

突然笑い出してしまい、

またまたエリートサラリーマンに

絡まれてしまいます。

(アーサーには脳疾患が原因で突然笑い出すという症状があります)

エリートのくせして本当に人間のクズです。

 

笑いとは?

アーサーには憧れのコメディアンがいました。

マレー・フランクリンといって、

ゴールデンタイムのバラエティ番組に出ています。

 

映画の後半、そのマレーに見出されて、

アーサーのビデオがマレーの番組で流されました。

 

が、アーサーを利用して笑いをとるようなやり方に、アーサーは傷つきます。

 

この件は、最近の日本のお笑いにも通じるなと思いました。

「いじり」と称して、その人を貶めることで笑いをとる。

 

さも、その笑いをとった人がおもしろいかのような錯覚を受けますが、

決してそのようなことはないですよね。

こういうの、もうやめたらいいと思います。

 

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ジョーカーになる

ジョーカーというのはバッドマンシリーズの

悪役なのだそうですが、

(わたしはバッドマンシリーズを全く観ていません。)

追い詰められたアーサーはジョーカーへと変わっていきます。

 

「もう自分には失うものは何もない」

と悟ったジョーカーは暴走します。

 

それをみて、社会に、職場に、家族に

虐げられていると感じている人が、

皆ジョーカーとなっていきます。

 

ジョーカーのお面を被り、

略奪、放火と暴力の限りを尽くします。

 

こうなったら、善良に生活してきた市民も皆、

ジョーカーです。

 

「自分は本当にこの世に存在しているのかな?」

と鬱になっていたアーサーは、

ヒーローとして迎えられます。

 

ここまで来ると、

映画の中のお話などと距離をおいてみるものではなく、

完全に自分も映画の中に入り込んでいました。

観客もみな、ジョーカーです。

 

冒頭のツイートにもあるように、

自分もピエロの仮面をかぶって、

暴れているみたいでした。

 

今までにあった悲しいこと悔しいことを思い出して

重く苦しい気持ちにもなりましたが、

一方でスカッとしました。

 

こんな映画今までにあったでしょうか。

今までにブログにしただけでも100本以上の映画をみましたが、

こんな気持ちになったのは初めてです。

 

皆さんもぜひみてみてください。

では、また!

 

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