日本語教師わかばの教え方がうまくなるブログ

日本語教師わかばのことばにまつわるあれこれ。ライターもやってます。旅行と映画と本が好き。

【読書感想】フラットな立ち位置に共感「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」

ほぼ3ヶ月ぶりのブログです。

ほとんど更新できていないにもかかわらず、

読みにきてくださるみなさま、

本当にありがとうございます。

 

さて、今4日間ほど休みをもらっています。

それで積ん読をひたすら消化しているわけです。

 

そこで、昨日は以下の本を読みました。

 

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

 

 

Twitterで、本の感想を呟きあう#日本語教師ブッククラブ

の2020年2月の課題本でもあるので、

Twitterでいろいろ呟きながら読んでみました。

 

 

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フラットなものの見方に共感

 

「移民に関わる書籍」を読んで、

もちろん、これからの社会は移民なしには

成り立たないのだから、みんなにちゃんと考えてほしいし、

そうならなければならないのはわかるのだけど、どこかに

「移民はこんなにかわいそうなんだから、もっと考えろ」

というような正義感の押し付けだったり

上から目線を感じてしまうのです。

 

自分はお金にも仕事にも不自由していない立場から、

「かわいそうだ」って言われても、

何か釈然としないところがあったのです。

 

でも、この本は著者とその家族の社会的地位などを

全てさらけ出して、そこから起こる事象をもとに

筆者が感じる心象をていねいに紡ぎ出しています。

 

例えばお金のある私立中学と

庶民の公立中学との差について感じること

食べ物がなくて学校にすらまともに通えない子ども達に

対応する教員の苦悩について。

「チンク」と言われて「私は中国人じゃない!」にどう対応するか?

筆者の考えはとてもフラットで共感しました。

 

多様性とは何かを考える

 

この本は全編を通して「多様性」について

読者に問いかけています。

 

「多様性」というと、すぐに「多文化共生」のことが

思い浮かびますが、もちろんそれだけではありません。

 

国籍はもちろん、社会的階層、セクシュアリティ、

宗教、家族のあり方、その全てが多様性。

そして、筆者は多様性についてこう語ります。

 

 

筆者の息子さんは「多様性の海」で泳ぎながら、

大切なことをどんどん学んでいきます。

タイトルの通り「ぼくはイエローでホワイトで、…」と考えながら、

周りの人のことを思いやるようにもなるのです。

 

そして、日本では今、外国人児童が多いのは

地域の公立校だけど(多分)、

将来的には以下のようになるかもしれませんね。

昨今の英国の田舎町には「多様性格差」と呼ぶしかないような状況が生まれている。人種の多様性があるのは優秀でリッチな学校、という奇妙な構図が出来上がってしまっていて、元底辺中学校のようなところは見渡す限り白人英国人だらけだ。

 

当事者になるということ

 

そして、こういったことは外国人の立場になって初めてわかるんですよね。

私もメキシコにいたころはよく「チーノ、チーノ」と言われたり、

「どこまで見えてるの?」(目が小さいから)と聞かれたりしました。

そういった目にあって初めて、「自分」というものが立ち上がってきて、

「相手」のことも考えられるようになる。

当事者意識というのかな…

そのくせ、相手を無意識に差別してしまうようなこともあると思うんですが。

 

最近でいえば、娘が不登校になってしまったことで、

その親の大変さを味わいました。

学校にいっていたころは「学校なんて行かなくても大丈夫」と

思っていましたが、いざ行かなくなると、それはとても大変なことでした。

当事者になってみて初めてわかったことでした。

(これについてはいつか詳しく)

 

多様性の中にも共通点はある

 

国は違っても思春期の子どもの行動などは、

「わかるわかる!!」と思うことがほとんどで、

楽しく読みました。

 

多様性の中にある共通点って

人間としての共通点だと思うのですよね。

 

私はそれがこれからの言語学習のキーのなると信じています。

私たちはこんなに違って、こんなにも同じ。

そういう風に感じられたら、

世界は少しずつ変わっていくのではないかと思います。

この本を読んでその思いを強くしました。

 

では!