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映画レビュー【家族を想うとき】フリーランス日本語教師も全く他人事ではない映画

そういえば、最近映画を観ても、

ブログにレビューをしていないことも多いです。

反省です。

そういうわけで、今日はしばらく前に観た映画の

感想を書いておきたいと思います。

 


名匠ケン・ローチの新作『家族を想うとき』予告編

 

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/5e/9d/368434_011.jpg

イギリス映画で、監督はケン・ローチ。

前作は「私はダニエル・ブレイク」です。

本作も前作同様、イギリスの貧困問題をテーマにした

社会派映画です。

 

主人公のリッキーはあらゆる職を転々とした後に、

フリーランスのトラック運転手として、

ある運送会社と契約することになります。

妻もフリーランスの介護士でやった時間だけ、

お金をもらえるシステム。

2人とも雇用契約ではなく、業務委託契約なので、

保険や有給などがありません。

その上、子供が2人いて、

忙しくってしょうがない毎日です。

 

私もフリーランスの日本語教師で、

育児中ですので、

これは、他人事とは思えません。

自分を観ているかのようです。

 

フリーランスってなんですか。

このコロナ騒ぎで、

フリーランスに休業補償を行うという政府の方針が

発表されましたが、その額なんと1日あたり4000円という額。

あの私の場合2コマ分以下です。

news.tbs.co.jp

そもそもフリーランスって何よ?って話ですよね。

辞書によると…

一定の会社・組織に属していない自由契約のジャーナリストや俳優など。フリー。フリーランス。

(デジタル大辞林)

だから自分が生み出したもので食べていける人の仕事形態だったと思う訳です。

でも、時代の波にのまれて、というより、のまされて、

本来、雇用でしっかりその生活を守るべきだった職種の人たちまでも、

フリーランスになっていったと思うんです。

それはまさに経営者の利益を優先するための政策です。

日本語教師のフリーランス化もその流れの中で

生まれたものだと思います。

もちろん、ひとつの所属先だけでは不安です。

だからフリーランスになることのメリットもあります。

だけど、デメリットももちろんあります。

それはこの映画で描かれているように、

お金が時間を切り売りすることだけでしか

稼げないことで、

終わりのないラットレースのなかに

自らを投入してしまうことなのです。

家族ってなんですか。

そうなってしまうと、

もうがむしゃらにとりあえず長時間働かざるを得ません。

家族を養うために

お金が必要だと思えば、

それこそ徹夜してでも働いてしまいます。

いつしかその長時間労働が、

お金で守りたかったはずの家族を

お金のために傷つけてしまうのです。

そして、家族はバラバラになってしまいます。

これ、本当に他人事とは思えません…。

 

希望ってなんですか。

でも、ラストシーンをみて、

家族が希望だと私は思わされました。

 

仕事とお金はややもすると、

自分を見失います。

なぜなら、仕事は自己肯定感をもたらしてくれるからです。

仕事を失うと自分の価値がなくなったように感じてしまいます。

だから、体を壊していようと精神を病もうと

働かずにはいられない人も出てきます。

ラストシーンは、そんな主人公と、

主人公を大切に思う家族の叫び声がこだましていました。

そのシーンをみて、生きるということの

苦しみを感じずにはいられませんでした。

 

今日はここまでです。

では、また!