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映画レビュー・ネタバレなし【主戦場】慰安婦問題に正面から向き合った映画

GW最終日ですね。

とにかく今日見なければいけない映画がありました。

 

こんばんは。

わかばです。

 

その映画のタイトルは「主戦場」です。

映画『主戦場』公式サイト

 

https://eiga.k-img.com/images/movie/90844/photo/1ef6afa9011653f2/640.jpg?1552436580

 

日系アメリカ人の監督による

「慰安婦問題」をテーマに、

否定派と肯定派、

様々なインタビューを通して、

この問題に迫るドキュメンタリーです。

今日はこの映画の感想を書いていきたいと思います。

 

まず第一に、映画にせよ、文章にせよ、何にせよ、

誰かが表現活動を行うとき、

中立というのはありえないということです。

この映画は否定派と肯定派の意見を紹介していますが、

ベースには監督の考えがあるのだなと思って見ました。

 

ただ、それを差し引いても

公式サイトに、

映画監督で作家の森達也氏のコメントがあるように

言葉の選びようや表情で、

慰安婦問題に対して、いや人生に対して、

どのように向き合っているのかがわかります。

映画は論文ではない。あなたは主張する主体の表情をスクリーンで見る。声を聞いて目の動きを確認し、一瞬の笑みや吐息に気づくこともできる。

言葉だけではない。そこに本質が現れている。

 

慰安婦問題を考える上でも

映画としてもとてもいいドキュメンタリーだったと思います。

そして、見終わったその瞬間から、

自分はどう思うのか?という逡巡の旅が始まりました。

今見終えて、5時間くらいたったのだけど、

いろんなことが頭の中をぐるぐる回っています。

 

実は私も個人的な経験から(これを話すと長くなるので割愛)

かなり右寄りの考え方を持っていました。

 

小中高時代は「日本は悪い国だ」と教えられました。

大学に入ると小林よしのり氏の「戦争論」が大ベストセラーに。

「悪い国だ」と思っていたのにそうでなかった!と知ったときは

霧が晴れたような爽快感がありました。

(そういえば、小林氏は映画に出ていませんでしたね)

 

また、当時は就職氷河期でもありました。

「自分がいくら努力しても認められない」という鬱積した思いを

持っていた若者には、「日本人であるだけで自信を持っていい」

という今思えば間違った思想が広がったのは、

そのあたりだったのではないかと思います。

 

私はその後、中国へ日本語教師として赴任しますが、

そのときに「反日デモ」が起こりました。

それがきっかけになって帰国するのですが、

それ以降「日本人とは?」

というのが私のテーマとなりました。

 

「日本人とは?」という答えのない問いについて

考えると、どうしても「先の大戦」に行きつきます。

となると「慰安婦問題」もその中心的な事柄になってくるわけです。

 

私も考えました。

なぜ何度も謝罪しなければならないのか?

なぜ像を作らなければならないのか?

証言は本当なのか?

 

それに対するヒント(考えようによっては答え)は、

映画の中にあると思います。

 

https://eiga.k-img.com/images/movie/90844/photo/6a70a34674da55b2/640.jpg?1551313787

また、映画の中では安倍首相を歴史修正主義者で、

日本を戦前の日本に戻そうとしている政治家といったふうに

描いていますが、2007年に一度退陣に追い込まれて、

また、再登板するに至った背景なんかも合わせて

考えたりする必要はありそうです。

 

思想って振れ幅が大きいんですよ。

10年前には誰も言わなかったことが、

現在は常識になっていたりしますし、

その逆もまた然りです。

 

 そして最後に思うのは、人間とは?という問いです。

人間はどこまでも残虐になれるし、

どこまでも美しくなれます。

 

日本人だけが野蛮なのではなく、

また、当然の事ながら、

日本人だけが素晴らしいのではないのです。

 

人間は同じだと私は思います。

 

今もどこかで戦争をしています。

どうすれば人間は戦争をやめられるのだろうか?

 

人間は男でも女でも、

どんな人種でも尊重される社会を作るには

どうすればいいのだろうか?

 

何をすればいいのだろうか?

 

それを考えるいいきっかけになった映画でした。

 

では、また〜。

 

 

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