日本語教師わかばの教え方がうまくなるブログ

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書評【私、日本に住んでいます】日本在住の外国人の生き方を知る良書

日本語教師であっても、

日本に生きる外国人の全てを知っているわけではない

ということを認識するためのいい本を紹介します。

 

こんにちは。

わかばです。

 

今日紹介したい本はこちら

私,日本に住んでいます (岩波ジュニア新書)

私,日本に住んでいます (岩波ジュニア新書)

 

 

 

 

「私、日本に住んでいます」はどんな本?

著者

「はじめに」のところで著者について語られています。

著者はスリランカ出身のジャーナリストです。

タミル人の父とシンハリ人の母をもつ著者は

幼い頃から多様な文化の中で過ごしてきたと言います。

そして来日。

現在はジャーナリストとして活躍中です。

 

内容

日本で生きる外国出身の方々を取材し、

その生き方を紹介しています。

紹介されている方々の出身国、目的なども様々です。

最後にはドナルド・キーンさんにも取材されています。

 

テキストとしてもOK

岩波ジュニア文庫ということもあり、

比較的わかりやすい日本語で書かれています。

「です・ます調」でもあるので、

読みやすいです。

それに、読むモチベーションが上がると思うんですよね。

なぜなら、日本語学校や日本の大学に通う学生さんも

同じ立場なわけだから。

一人一冊買ってもらって、

中級クラスのテキストにしてはどうか?と思います。

800円だし。

 

「私、日本に住んでいます」の感想

「はじめに」を読んで

全ての文章が、

人は多様性を受け入れて、

幸せに生きることができる

という確信に満ち溢れていて、

希望が湧いてくる一冊です。

 

特に「はじめに」で語られている著者の言葉には、

強く胸を打たれます。

 

 異なる価値観や考え方のなかで生きていくためのもっともよい方法は、互いの似たもの、共通項を見つけることです。

(中略)

 異なるものを結びつけるということは、混沌とした状況を乗り越える橋をみつけるようなものです。この二つの文化を結びつけるために川の両端から始まって中央で一つになるような「橋を架ける」ことをイメージするようになりました。橋を架けるということは、多様なあり方を認めるための基盤となるのです。橋を架けることによって、別の世界への道が開けていくのです。

 

共通項を見つけるということはいいですね。

なぜなら、そこには違って当たり前だという価値観があるからです。

 

そして、両者の間に橋をかけ、その橋を渡ることで、

世界が広がっていくというプラスのイメージが脳内に広がりました。

そのイメージがなんというか希望そのものなんだと思います。

 

「好き」が力に

この本で紹介されている人々の心の中には

「好き」がたくさんあります。

「日本が好き」だけじゃなく、

「音楽が好き」「落語が好き」「文学が好き」…などなど。

その「好き」という気持ちは、

たとえ、辛いことがあっても、

自分を支え続けてくれるし、

また「好き」を続けていると、

その対象(それは人とは限らない)を、

尊重できるようになるんだなあと思いました。

 

本当にいい本です。

日本語教師の皆さんにオススメです。

ぜひ、読んでみてください。

 

では、また〜

 

 

私,日本に住んでいます (岩波ジュニア新書)

私,日本に住んでいます (岩波ジュニア新書)