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映画No54【リトル・ボーイ 小さなボクと戦争】意志の力は悲しみも憎しみも乗り越える!

この季節、外に出るとそっと香る金木犀。

目立たないけれど、存在感のある香りの金木犀。

「あぁ、秋が来たんだな」って思います。

 

こんばんは。

わかばです。

 

リトル・ボーイ 小さなボクと戦争(2014/米)

ここのところ観たい映画が目白押しで

ハドソン川の奇跡」に「声の形」に「エル・クラン」に・・・

と思っていたれど、いい時間がない!

そこで、いい時間にちょうどやっていた本作の予告編を観てみたら、

わりと良さそうだったので、観てみました。


映画『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』予告編

監督:アレハンドロ・モンテベルデ

主演:ジェイコブ・サルバーティ

あらすじ:

 第2次世界大戦の最中、カリフォルニア州の漁村で暮らす8歳の少年ペッパー(ジェイコブ・サルヴァッティ)は、村で一番背が低いことから周囲に“リトル・ボーイ”と言われていた。そんなペッパーは、父親ジェイムズ(マイケル・ラパポート)のようになりたいと思っていた。ある日、扁平足で入隊できない兄(デヴィッド・ヘンリー)に代わり父が徴兵されてしまい……。

 

以下、感想、ネタバレを含みます。

 

偏見や戦争といった困難のなかで

意志の力、つまりは信じる力だけが、自分を救う。

という強いメッセージが伝わる映画です。

ユーモアがあり笑わせてくれるかと思いきや、

急にシリアスなシーンになったり、テンポもよいです。

子役もかわいいし、カリフォルニアの海や夕陽もキレイです。

太平洋戦争を描いていますが、

アメリカ側に立つわけでもなく、日本側に立つわけでもない、

そういうところを超えたものを描いているいい映画です。

後程書きますが、この監督ならではだと思います。

 

神様のTO DO リスト

ペッパーは「どうすれば、父親が帰ってくるか?」と

教会の司祭に尋ねます。すると、「神様のリストを守れ」

と言われます。

そのリストには、「お腹を空かせた人に食べ物を与えよ」とか

「裸の人に服を与えよ」とか「ホームレスに家を与えよ」とか

いろいろかいてあるわけなんです。

要するにTO DO リストなんです。

それを実行すれば、かならず願いが叶うと言われ、

幼い主人公はそれを信じているのです。

 

事実、「やれるもんならやってみろ」とけしかけられて、

「山を動かす」といって「う~」と言い出した瞬間に地震

起きたり、太平洋に向かって、念力注入していたら、

広島に原爆が落とされたりするわけです。

しかもコードネーム「リトル・ボーイ」。

 

汝の敵を愛せよ

主人公ペッパーは、身体が小さいので、

いつも近所のジャイアンみたいな悪ガキにいじめられています。

ペッパーの友人、村で一人だけの日系人ハシモトは

日本人だというだけで、言われなき誹謗中傷を受けます。

そこで、この映画のキーワードは

「汝の敵を愛せよ」です。

もちろん、聖書の中の言葉です。

日系人ハシモトは当時のアメリカにとっての敵国「日本」の象徴です。

でも、主人公は誰に何と言われようと友人関係を貫きますし、

そして、主人公の母もハシモトを家に招いて食事をします。

打ち殺そうとした主人公の兄でさえ、最後はハシモトを助けます。

司祭から与えられたリストがそうであるように、

この映画を貫くものはキリスト教の教えであると思いました。

 

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メキシコ人監督アレハンドロ・モンテベルデ

この監督のことをわたしはメキシコ出身としか知らないけれど、

使い古されたテーマのようでありながら、

実は今、彼にしか作れない映画だと思いました。

わたしも1年ほど住んでいたメキシコはカトリックの国です。

ほとんどの人が敬虔なカトリックです。

そして、トランプ大統領候補が「メキシコ国境に壁を築く」と言ったように、

アメリカには中南米からの移民が本当にたくさんいますし、

そのほかの国からの移民もたくさんいて、まさに人種のるつぼ。

時代とともに、差別される人は変わるけれど、

偏見や差別は決してなくなることはありません。

ニュースなどをみていると、

むしろ今はそういう傾向が強くなっているようにも感じます。

そういう今の状況を憂いて、70年前のアメリカを舞台にして、

この映画が作られたのだと思いました。

昔も今も、偏見や戦争はなくならない。

人は憎しみからどうすれば自由になれるのか?

それを思う時、「汝の敵を愛せよ」という言葉が胸に迫ります。

そして、それを信じ、それを実行する勇気と意思の力を持つ者だけが、

憎しみから解き放たれ、自由になれるのだと思います。

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憎しみからの解放を。

では、また~。

 

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