この季節、外に出るとそっと香る金木犀。
目立たないけれど、存在感のある香りの金木犀。
「あぁ、秋が来たんだな」って思います。
こんばんは。
わかばです。
リトル・ボーイ 小さなボクと戦争(2014/米)
ここのところ観たい映画が目白押しで
「ハドソン川の奇跡」に「声の形」に「エル・クラン」に・・・
と思っていたれど、いい時間がない!
そこで、いい時間にちょうどやっていた本作の予告編を観てみたら、
わりと良さそうだったので、観てみました。
監督:アレハンドロ・モンテベルデ
主演:ジェイコブ・サルバーティ
あらすじ:
第2次世界大戦の最中、カリフォルニア州の漁村で暮らす8歳の少年ペッパー(ジェイコブ・サルヴァッティ)は、村で一番背が低いことから周囲に“リトル・ボーイ”と言われていた。そんなペッパーは、父親ジェイムズ(マイケル・ラパポート)のようになりたいと思っていた。ある日、扁平足で入隊できない兄(デヴィッド・ヘンリー)に代わり父が徴兵されてしまい……。
以下、感想、ネタバレを含みます。
偏見や戦争といった困難のなかで
意志の力、つまりは信じる力だけが、自分を救う。
という強いメッセージが伝わる映画です。
ユーモアがあり笑わせてくれるかと思いきや、
急にシリアスなシーンになったり、テンポもよいです。
子役もかわいいし、カリフォルニアの海や夕陽もキレイです。
太平洋戦争を描いていますが、
アメリカ側に立つわけでもなく、日本側に立つわけでもない、
そういうところを超えたものを描いているいい映画です。
後程書きますが、この監督ならではだと思います。
神様のTO DO リスト
ペッパーは「どうすれば、父親が帰ってくるか?」と
教会の司祭に尋ねます。すると、「神様のリストを守れ」
と言われます。
そのリストには、「お腹を空かせた人に食べ物を与えよ」とか
「裸の人に服を与えよ」とか「ホームレスに家を与えよ」とか
いろいろかいてあるわけなんです。
要するにTO DO リストなんです。
それを実行すれば、かならず願いが叶うと言われ、
幼い主人公はそれを信じているのです。
事実、「やれるもんならやってみろ」とけしかけられて、
「山を動かす」といって「う~」と言い出した瞬間に地震が
起きたり、太平洋に向かって、念力注入していたら、
広島に原爆が落とされたりするわけです。
しかもコードネーム「リトル・ボーイ」。
汝の敵を愛せよ
主人公ペッパーは、身体が小さいので、
いつも近所のジャイアンみたいな悪ガキにいじめられています。
ペッパーの友人、村で一人だけの日系人ハシモトは
日本人だというだけで、言われなき誹謗中傷を受けます。
そこで、この映画のキーワードは
「汝の敵を愛せよ」です。
もちろん、聖書の中の言葉です。
日系人ハシモトは当時のアメリカにとっての敵国「日本」の象徴です。
でも、主人公は誰に何と言われようと友人関係を貫きますし、
そして、主人公の母もハシモトを家に招いて食事をします。
打ち殺そうとした主人公の兄でさえ、最後はハシモトを助けます。
司祭から与えられたリストがそうであるように、
この映画を貫くものはキリスト教の教えであると思いました。
メキシコ人監督アレハンドロ・モンテベルデ
この監督のことをわたしはメキシコ出身としか知らないけれど、
使い古されたテーマのようでありながら、
実は今、彼にしか作れない映画だと思いました。
わたしも1年ほど住んでいたメキシコはカトリックの国です。
ほとんどの人が敬虔なカトリックです。
そして、トランプ大統領候補が「メキシコ国境に壁を築く」と言ったように、
アメリカには中南米からの移民が本当にたくさんいますし、
そのほかの国からの移民もたくさんいて、まさに人種のるつぼ。
時代とともに、差別される人は変わるけれど、
偏見や差別は決してなくなることはありません。
ニュースなどをみていると、
むしろ今はそういう傾向が強くなっているようにも感じます。
そういう今の状況を憂いて、70年前のアメリカを舞台にして、
この映画が作られたのだと思いました。
昔も今も、偏見や戦争はなくならない。
人は憎しみからどうすれば自由になれるのか?
それを思う時、「汝の敵を愛せよ」という言葉が胸に迫ります。
そして、それを信じ、それを実行する勇気と意思の力を持つ者だけが、
憎しみから解き放たれ、自由になれるのだと思います。
憎しみからの解放を。
では、また~。
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