日本語教師わかばの教え方がうまくなるブログ

日本語教師わかばのことばにまつわるあれこれ。ライターもやってます。旅行と映画と本が好き。

映画レビュー【JOKER】あなたもわたしもJOKER

こんなことを呟きました。

 

やることいっぱいあるんだけど、

とりあえずMOVIX京都に行ってきました。

 

そしたらなんと、満席でした。

ギリギリで最前列の一番右の席に滑り込み。

 

祝日とはいえMOVIXみたいな大きいスクリーンが

満席になることってある〜?

とか思いながら、観てきました。

 

(ここからネタバレ含みます)

 

重苦しい映画だということは聞いていました。

そして実際、鑑賞後の感想としても、

とても重苦しく切なく悲しい映画なのですが、

どこかでスカッとしている自分がいることも

否定できなかったのです。

 

「あ、やばい。あれ観てスカッとしてる」

 

と思ったのですが、

その「スカッとさ」は時間が経つにつれて、

少しずつ大きくなってゆきました。

 

どこかに長い階段があったなら、

自分もJOKERばりに踊り出してしまいそうなのです。

 

では、なぜ自分がスカッとしたのか

考えていきたいと思います。

 

あらすじ

まず、簡単なあらすじを説明します。

https://www.smt-cinema.com/movie_data/T0024167/T0024167_movieimg_r_l_9.jpg

主人公の主人公のアーサーは、

病気がちな母親と二人で暮らしている

貧しいし、心も病んではいるけれど、

優しい青年です。

コメディアンに憧れる彼は、

ピエロの格好をしてPRなどをする仕事で

日銭を稼いでいました。

が、社会の底辺で生きる彼の身に起こる悲劇が

彼を追い詰めていく…

というストーリーです。

 

予告編はこちら


『ジョーカー』心優しき男がなぜ悪のカリスマへ変貌したのか!? 衝撃の予告編解禁

 

さいあくな同僚

映画の冒頭、ピエロ派遣センターのようなところで、

アーサーはピエロの格好で

販促PRをやっていたんですが、

タチの悪い不良に絡まれ、看板などを壊されます。

 

それなのに、ピエロ派遣センターのオヤジは

一方的にアーサーが悪いと決めつけて話も聞かずに

「看板返せ!返さへんかったらクビ!」

みたいなことをいいます。

こういう人いますよね。

ロクに話も聞かずにせめる人。

 

また、同僚の一人はアーサーに銃を渡します。

半ば押し付けるかのようにして渡したのに、

それが問題になるとアーサーが欲しがったとか

デタラメを言い出して、

アーサーに罪をなすりつけようとします。最低です。

 

https://www.smt-cinema.com/movie_data/T0024167/T0024167_movieimg_r_l_6.jpg

 

でもこのピエロ派遣センターには

小人病の同僚もいます。

彼はアーサーをいじめたりはしないのです。

しかし、最終的にアーサーはこの会社を

クビになってしまいます。

 

さいあくな親

 

アーサーは病気のお母さんを献身的に世話します。

お母さんは日々、前働いていた家のお金持ちに、

手紙を書いています。

 

わたしも息子も大変だから、

助けてほしいという内容で、

何度書いても、もちろん返事はありません。

 

だけど「今日返事きてた?」といつも聞くので

優しいアーサーはいつも帰った時、

ポストを確認しているのです。

 

ある時アーサーはふと手紙を読んでしまい、

市長が自分の本当の父親だったと知ります。

 

アーサーはその父親に会いに行き、

「僕の父親でしょ?抱きしめてくれるのが

 本当じゃないの?」といいますが、

冷たくされるどころか、殴られてしまいます。

 

https://www.smt-cinema.com/movie_data/T0024167/T0024167_movieimg_r_l_1.jpg

 

その後、驚くべき事実が明らかになりますが、

それはぜひ、劇場で確認してください。

 

 さいあくな社会

アーサーは福祉サービスのようなものを

受けています。

ケースワーカーの面談も何度も受けていますが、

最後に福祉サービス(生活保護のようなもの)を

打ち切られてしまいます。

そしてケースワーカーに

「あんた、俺の話、いつも聞いてないよね」と言います。

そう、社会なんて自分のことを考えてすらいないのです。

 

https://www.smt-cinema.com/movie_data/T0024167/T0024167_movieimg_r_l_5.jpg

 

また、夜中の電車で女性に絡んでいる

エリートサラリーマンも最悪です。

その時、乗り合わせたアーサーが

突然笑い出してしまい、

またまたエリートサラリーマンに

絡まれてしまいます。

(アーサーには脳疾患が原因で突然笑い出すという症状があります)

エリートのくせして本当に人間のクズです。

 

笑いとは?

アーサーには憧れのコメディアンがいました。

マレー・フランクリンといって、

ゴールデンタイムのバラエティ番組に出ています。

 

映画の後半、そのマレーに見出されて、

アーサーのビデオがマレーの番組で流されました。

 

が、アーサーを利用して笑いをとるようなやり方に、アーサーは傷つきます。

 

この件は、最近の日本のお笑いにも通じるなと思いました。

「いじり」と称して、その人を貶めることで笑いをとる。

 

さも、その笑いをとった人がおもしろいかのような錯覚を受けますが、

決してそのようなことはないですよね。

こういうの、もうやめたらいいと思います。

 

https://www.smt-cinema.com/movie_data/T0024167/T0024167_movieimg_r_l_4.jpg

 

ジョーカーになる

ジョーカーというのはバッドマンシリーズの

悪役なのだそうですが、

(わたしはバッドマンシリーズを全く観ていません。)

追い詰められたアーサーはジョーカーへと変わっていきます。

 

「もう自分には失うものは何もない」

と悟ったジョーカーは暴走します。

 

それをみて、社会に、職場に、家族に

虐げられていると感じている人が、

皆ジョーカーとなっていきます。

 

ジョーカーのお面を被り、

略奪、放火と暴力の限りを尽くします。

 

こうなったら、善良に生活してきた市民も皆、

ジョーカーです。

 

「自分は本当にこの世に存在しているのかな?」

と鬱になっていたアーサーは、

ヒーローとして迎えられます。

 

ここまで来ると、

映画の中のお話などと距離をおいてみるものではなく、

完全に自分も映画の中に入り込んでいました。

観客もみな、ジョーカーです。

 

冒頭のツイートにもあるように、

自分もピエロの仮面をかぶって、

暴れているみたいでした。

 

今までにあった悲しいこと悔しいことを思い出して

重く苦しい気持ちにもなりましたが、

一方でスカッとしました。

 

こんな映画今までにあったでしょうか。

今までにブログにしただけでも100本以上の映画をみましたが、

こんな気持ちになったのは初めてです。

 

皆さんもぜひみてみてください。

では、また!

 

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映画レビュー【新聞記者】自分を信じそして疑いながらの感想

【映画レビュー/新聞記者】

 

巷で話題の政治映画「新聞記者」

皆さんはもうご覧になりましたか?

 

私は今日、やっとMOVIX京都にて

鑑賞してきました。

 

今回も相変わらずの予習は予告編だけ。

松坂桃李が出ている政治ドラマということだけが、

前提知識という状態で見に行って来ました。

 

劇場は金曜日の夜ということもあってか

小さな劇場は8割がた席が埋まっていましたよ。

 

今日はそんな映画「新聞記者」のレビューを書きます。

このブログでは核心に触れずにネタバレします

 

新聞記者(2019/日本)とは?

監督は?

原作は東京新聞記者の望月衣塑子の著書です。

監督は藤井道人で、彼は伊坂幸太郎原作の「オー!ファーザー」や

「幻肢」を撮っている人です。「幻肢」は予告編で観たいと思ったのを

思い出しました。

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主演は?

主演の内閣情報調査室の官僚を演じるのは松坂桃李。

いやあ、彼よく働いてますよね。どんな映画にも出ている印象です。

今までレビューした中のものだと、例えばこれがよかったですねえ。

www.wakaba-nihongo-writer.net

他にも彼が出ている映画はごまんとあります。

 

ヒロインは?

韓国の女優さん、シム・ウンギョンさんが

日本人の父、韓国人の母をもちアメリカで育った新聞記者の

役を見事に演じています。

Wikiで調べると、「サニー 永遠の仲間たち」にも

出ていたようですね。今度観てみよう!

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あらすじ

羊の絵

外務省からの出向で内閣情報調査室に勤務する杉原は

仕事のできるエリート官僚。

この日も、政権を批判する討論番組をチェックしながら、

政権に反対する人を社会的に窮地に追い込もうとしていた。

 

吉岡エリカは東都新聞の記者。

アメリカで韓国人の母に育てられた。

父(日本人)もジャーナリストで、

誤報を報じた上で亡くなった。

彼女は首相が内閣府主導で大学設立を進めていることを

不審に思い、その件の黒幕を暴こうと調べを進めていた。

 

ある日、羊の絵のFAXが送られて来た。

そこから物語はスタートする。

 

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/6c/2b/367194_001.jpg

ある官僚の死

ある日、外務省の北京日本大使館時代の上司の神崎から

連絡があり、久しぶりに一緒に呑むことに。

神崎は、5年前のある事件でやってもいないことの

責任を一心に背負い、今は閑職に追いやられていて、

その窪んで虚ろな目からは

神崎が何かに絶望していることが感じられた。 

そして、神崎は杉原に電話をかけ、その後自殺する

 

ヨシオカとの出会い

神崎の通夜。

ヨシオカはマスコミに囲まれる神崎の妻と娘をみて、

記者を戒める。

ジャーナリストの父を自殺で亡くしたヨシオカは、

その時、マスコミに執拗に質問された嫌な記憶があり、

神崎の娘と自分が重なったのだ。

そんなヨシオカの様子をみていた杉原は

彼女に話しかける。そこから二人が繋がり、

二人は大きな闇を暴こうと手を携える…

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/7d/7a/367194_005.jpg

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鑑賞後の感想

映画としての新しさ

とまあ、こんなストーリーです。

今まで政治をここまで生々しく題材にした日本映画は

見たことがなかったので、それだけで観る価値はあります。

 

しかも、レイプ事件(被害者の名前までそっくり)とか、

大学設立とかも出てきます。

今の政権を悪とし、その悪を暴こうとする二人が描かれています。

 

政権側である杉原の上司は

「この国の民主主義は形だけでいいんだ」

と言い放ち、なんだかそれを聞いてげんなりしました。

まあ、実際そうなんでしょうかね。

 

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/f5/d8/367194_007.jpg

 

もっとディテールを

この映画は1時間53分なのですが、

もう少し長くしてもよかったのでは?

なぜなら、もう少しもっと細かいところまで

知りたいからです。

それは観るものに委ねられているのかもしれないけど…

 

例えば5年前の事件ってなんなのか?

(モチーフになった事件があるのかもしれないけど思い出せない)

ヨシオカの父が自殺した原因になった事件とは何か?

そして、ヨシオカの母が韓国人でなければならない理由は?

 

ヨシオカが父のことを思うあまり、

時の政権に反感を持っているのは理解できるのだけど、

杉原が、自分のキャリアや家族を見放してまで、

新聞記者にネタを提供するのはどうして?

神崎のことがあったから?

そうだとしたら、もっと5年前の事件を

丁寧に描くべきじゃないかなあ。

 

俳優陣は素晴らしいの一言

そうはいっても、俳優陣の演技は観客を引き付けるのに、

十分すぎるほどでした。

ヨシオカ演じるシム・ウンギョンの佇まいは見惚れました。

クライマックスで、彼女が最後のスクープ記事を書くシーンは、

神々しささえあり、こんな風にものを書いてみたい

と心底憧れました。

 

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/b1/89/367194_006.jpg

 

また、劇中でなんども繰り返され、

ヨシオカを励まし続けるヨシオカの父の言葉

自分を信じ、そして疑え

はじんわりと心に響きました。

 

また、松阪桃李もエリートとしてのロボットのような顔、

父親としての顔、正義感のスイッチが入る顔、

ラストシーンの顔など、本当に引き込まれる表情というか…

表情というのは感情の表現であるのだな、などと

考えさせられたりもしました。

 

選挙を前にして

20歳で選挙権を得て、もう20年。

選挙に行かなかったことは、

1回か、2回だと思います。

私は私なりに政治について考えてきたつもりです。

日本語教師として、海外に行ったこともあったし、

毎日、海外の人と交わる仕事だから、

政治のことについても勉強して自分なりの

意見を持っているつもりでした。

でも、最近の世界情勢や日本の政治をみていると、

一回それをアンラーンして、

もう一度考え直す時にきているのかもしれないと感じています

その静かな一助にこの映画がなったことは確かです。

 

でも、沸き立つような正義感とか

震えるような怒りに見舞われる作品ではないです。

それはラストのなんともいえない中途半端さが

あると思うんですよねえ。

 

投票まではあと1週間ですが、

しっかり考えて一票を行使したいと思っています。

 というわけで政治に関心のある人もない人も

ぜひ一度見てください。

 

では、今日はこの辺で。

 

 

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日本語教師わかばのストレス解消方法3つ

【働き方のこと】

 

日本語教師は感情労働。

という訳でストレスとは切っても切れない関係です。

皆さんは上手にストレスマネジメントできていますか?

顔にイライラが出たりしていませんか?

 

今日は私の個人的なストレス解消方法を3つ紹介します。

 

f:id:wakaba78:20190607171402j:image

①サウナで汗を流す

サウナ最高ですー!

という訳で今日も行ってきました。

いやあ、クーポンでお得デーだったんです。

嫌なことも全て、洗い流してきましたよ。

 

 

風呂上がりのフルーツ牛乳です。うまっ!

 

やはり、体に溜まった悪いものを取り出すことは、

必要なことだろうと思います。

 

今のところは友達に教えて貰ったサウナの入り方

があります。

 

8分サウナ→8分やすむを3回繰り替えすのが、

ええ感じです。

 

といっても、サウナに8分入るのはキツイので、

その日の体調に合わせて調整しています。

 

緩やかにデトックスしたいなら、岩盤浴もおすすめです。

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②映画を観る

映画の何がいいって、

インプットなのか

アウトプットなのかわからないところです。

 

映画を観ると今自分の中にあるモヤモヤを流してくれるのに、

新しい知識を与えてくれるところが素敵です。

 

ただ、あまりに重たい映画を観ると、

逆に体調を悪くする場合があるので、注意してください。

 

最近観てよかった映画は、「12ヶ月の未来図

www.wakaba-nihongo-writer.net

それから「ROMA

 

www.wakaba-nihongo-writer.net

 

 

③文章を書いて自分に向き合う

私は単に文章を書くのが好きだから、

書いていると思っていました。

だけど、最近は書くことに浄化作用があるのでは?

と思うに至りました。

 

自分のモヤモヤしている頭の中や、

なんかハイになっている心の内側を、

丁寧に言語化していくことは、

自分の今を自分で認めてあげる作業だと思います。

 

最近はそういう理由もあって、

ブログの毎日更新をしています。

 

以上3つが、今の私のストレスマネジメントですね。

 

これからやめたいこと

これからやめたいことは、

何と言ってもお酒です。

先週の土曜日とかも飲んでいたんですけどね。

次の日、作業に集中しにくかったり、

やたらと寝てしまったりして、

どうも調子が崩れてきます。

そして、それがストレスになってしまいます。

だから、そろそろお酒はやめどきだと思っています。

 

これから始めたいこと

やっぱり運動ですね。

現状維持は劣化って言葉が最近気に入っているんですが、

それは日本語の授業に限らず、体でも同じこと。

40をこえた体はほうっておけば劣化します。

という訳で、お友達に「ジムの無料券をいただいた!」

ので行ってこようと思っています。

 

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映画レビュー【12ヶ月の未来図】学ぶことの意味を問う良作の感想

フランス、パリ郊外。

移民・貧困・学力低下……そんな教育問題をテーマに

撮られた映画があります。

2017年のフランス映画です。

 

12ヶ月の未来図」原題:Les Grand Esprits


『12か月の未来図』予告編

 

以下の記事はネタバレあります。

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勉強大好きなエリート教師、底辺校へ

主人公フランソワはパリの進学校で働く教師です。

どこか偉そうです。映画はテストの返却シーンから。

点数とともにコメントをいうんだけど、

そのコメントが厳しすぎるんです……

私ならやる気無くしそう。

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/ee/55/366543_001.jpg

ちょっとした教育者の会合で、

底辺校のことが話題になった時、

「底辺校にこそ、ベテラン教師が行かないとね」

と言ってしまったことから、

まさかの展開で自分が行く羽目になってしまったフランソワ。

 

日本でいう「御三家」みたいなところで教えてたのに、

一気に公立底辺校へ……

クラスの大半は移民で、勉強なんてやる気がなく、

めちゃくちゃ態度も悪いので、

フランソワは血管切れそうになってます。

 

これはフランス人の友人から聞いたのだけど、

パリ郊外は移民が多いそう。

この辺りの学校からでも大学に行けるように、

「枠」が用意されているのだけど、

分母に対して、その「枠」の数はとても少ないので、

ほとんどの人がちゃんとした教育を受けていないと

その友人も言っていました。

 

おやつ会でハイになるケーキを食べさせられる

期末テストが終わったら「おやつ会」したい

という学生に

「なに言ってんの?幼稚園ちゃうねんで!」

というフランソワでしたが、

なんだかんだで「おやつ会」させられることになります。

そこで、学生の持ってきたケーキを食べますが、

その後、倒れます。

そのケーキはハイになる葉っぱ入りだったのです……

 

考えられないことの連続で疲れ切ったフランソワ。

そんな折、日本に行っていた妹に会います。

 

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/33/f7/366543_006.jpg

 

妹は兄フランソワにこう言います。

「みんながみんな勉強が好きなわけじゃない。

 失敗したら、やる気もなくなる。

 自分がバカだって思ったら、人生どうでもよくなる」

という風に言われて考え直します。

 

まず教師が変わる

とりあえず、教材を決めるフランソワ。

フランソワ渾身の授業はなんと「レ・ミゼラブル」の味読

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 レ・ミゼラブルもヴィクトル・ユゴーも知らない学生たちに、

学ぶとはどういうことが、

食べ物を食べないと体は死ぬ。

 本を読まないと魂が衰える

と、誰かの(忘れた…)言葉を引用しながら、

学生たちに学びの火をつけようとするフランソワ。

 

「やってみようかな」という気になったところで

「はい、これ君の栄養ね。しっかり大きくなろうね」

と言いながら教材を渡すシーン。

私はこのシーンが一番好きです。

 

社会の先生とコラボして校外学習へ

 

ディクテーションのテストも「レ・ミゼラブル」からにして、

とにかく、「レ・ミゼラブル」を中心に授業が進んでいく

フランソワのクラス。

 

登場人物の紹介を発表させたり、

文章の意味をグループで考えたり、

少しずつではあるけれど、

学ぶ姿勢になっていく学生たち。

 

私はこのとき、今は亡き灘高校の

橋下武先生を思い出しました。

中勘助の「銀の匙」を3年間かけて

味って読む国語の授業で「奇跡の教室」として

数年前にテレビで紹介されました。

 私が読んだのは以下の本ですが、

よければ関連本は

たくさんあるので読んでみてください。

奇跡の教室 (小学館文庫)

奇跡の教室 (小学館文庫)

 

 社会の先生クロエとコラボして、

「レ・ミゼラブル」の歴史的背景を

詳しく教えて欲しいとコラボをオファー。

 

一緒にベルサイユ宮殿に校外学習に行きます。

王様の生活がどんなだったとか、

当時の服装がどんなだったとか、

実際にお城を巡りながら学びます。

 

とても楽しく有意義な1日を過ごしたフランソワは

社会の先生クロエとなんだか別れがたくいい雰囲気です。

でも、クロエ先生は結婚を約束した彼氏がいます。

 

お互いの気持ちに気づいていて、

何も言わずただキスをして別れた二人。

なんだか切なく、美しい大人の恋でした。

 

一人に向き合う勇気

 

ハイになるケーキをフランソワに食べさせた

セドゥくんという学生が軸になっているのですが、

彼がある問題を起こして退学処分になります。

 

フランソワは諦めてヤンキーの道に

突き進んでいくセドゥをなんとかして、

学校の来させようとします。

 

校長の仕事の穴をつき、

なんとか退学処分を取り消したフランソワ。

セドゥは再び学校にきて学び始めます。

 

最後に音楽の先生ともコラボして、

歌を歌うフランソワのクラスの学生たち。

家族も見にきていて、涙を流す人も。

 

そして、セドゥは最後に

「僕も先生が教えるエリート校で勉強したい。

 行けるかな?」

とフランソワに言います。

フランソワは「頑張ったら来られるよ」と答えます。

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/bb/55/366543_004.jpg

そこで映画は終了。

エンディングは「悲しき天使」が流れます。

これがまたイイ!


悲しき天使【訳詞付】- Mary Hopkin

最後の文化祭で歌ってた歌と、

ここで「悲しき天使」が歌われる理由が知りたい……

わかったら追記します。

 

この現実は日本の未来図でもある

移民や貧困の問題はヨーロッパの問題ではなく、

今や、外国人労働者の正面きっての受け入れに

舵を切った日本の近未来の姿でもあります。

 

奇しくも、昨日、日本語教育推進法が衆議院本会議で

可決されました。

 

しかし、移民、しかも子どもたちへの

日本語教育はまだまだボランティア頼みどころか、

そのまま放置されていたりする子どもたちもいるとききます。

 

そんな子供達に公費で日本語教育を行うことは

国としての義務であると思います。

 

ただし、それを行ったからといって

ハッピーな世界が来ると思っていてもだめ。

 

世界はもっともっと複雑で

人間はもっともっとややこしいもの。

 

それを知るために本を読むんだと思うし、

それこそが教育。

 

子供たち一人一人がより良い未来を信じられるような

世界であるために、大人がしなくてはいけないことは

たくさんあるはずです。

 

まずは、大人が勉強しないといけないですね。

そう思った今日の1本でした。

 

では、また〜!

 

今までに書いた教育系映画のレビューたちです。

よければ読んでください★

 

www.wakaba-nihongo-writer.net

 

 

www.wakaba-nihongo-writer.net

 

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映画レビュー・ネタバレなし【主戦場】慰安婦問題に正面から向き合った映画

GW最終日ですね。

とにかく今日見なければいけない映画がありました。

 

こんばんは。

わかばです。

 

その映画のタイトルは「主戦場」です。

映画『主戦場』公式サイト

 

https://eiga.k-img.com/images/movie/90844/photo/1ef6afa9011653f2/640.jpg?1552436580

 

日系アメリカ人の監督による

「慰安婦問題」をテーマに、

否定派と肯定派、

様々なインタビューを通して、

この問題に迫るドキュメンタリーです。

今日はこの映画の感想を書いていきたいと思います。

 

まず第一に、映画にせよ、文章にせよ、何にせよ、

誰かが表現活動を行うとき、

中立というのはありえないということです。

この映画は否定派と肯定派の意見を紹介していますが、

ベースには監督の考えがあるのだなと思って見ました。

 

ただ、それを差し引いても

公式サイトに、

映画監督で作家の森達也氏のコメントがあるように

言葉の選びようや表情で、

慰安婦問題に対して、いや人生に対して、

どのように向き合っているのかがわかります。

映画は論文ではない。あなたは主張する主体の表情をスクリーンで見る。声を聞いて目の動きを確認し、一瞬の笑みや吐息に気づくこともできる。

言葉だけではない。そこに本質が現れている。

 

慰安婦問題を考える上でも

映画としてもとてもいいドキュメンタリーだったと思います。

そして、見終わったその瞬間から、

自分はどう思うのか?という逡巡の旅が始まりました。

今見終えて、5時間くらいたったのだけど、

いろんなことが頭の中をぐるぐる回っています。

 

実は私も個人的な経験から(これを話すと長くなるので割愛)

かなり右寄りの考え方を持っていました。

 

小中高時代は「日本は悪い国だ」と教えられました。

大学に入ると小林よしのり氏の「戦争論」が大ベストセラーに。

「悪い国だ」と思っていたのにそうでなかった!と知ったときは

霧が晴れたような爽快感がありました。

(そういえば、小林氏は映画に出ていませんでしたね)

 

また、当時は就職氷河期でもありました。

「自分がいくら努力しても認められない」という鬱積した思いを

持っていた若者には、「日本人であるだけで自信を持っていい」

という今思えば間違った思想が広がったのは、

そのあたりだったのではないかと思います。

 

私はその後、中国へ日本語教師として赴任しますが、

そのときに「反日デモ」が起こりました。

それがきっかけになって帰国するのですが、

それ以降「日本人とは?」

というのが私のテーマとなりました。

 

「日本人とは?」という答えのない問いについて

考えると、どうしても「先の大戦」に行きつきます。

となると「慰安婦問題」もその中心的な事柄になってくるわけです。

 

私も考えました。

なぜ何度も謝罪しなければならないのか?

なぜ像を作らなければならないのか?

証言は本当なのか?

 

それに対するヒント(考えようによっては答え)は、

映画の中にあると思います。

 

https://eiga.k-img.com/images/movie/90844/photo/6a70a34674da55b2/640.jpg?1551313787

また、映画の中では安倍首相を歴史修正主義者で、

日本を戦前の日本に戻そうとしている政治家といったふうに

描いていますが、2007年に一度退陣に追い込まれて、

また、再登板するに至った背景なんかも合わせて

考えたりする必要はありそうです。

 

思想って振れ幅が大きいんですよ。

10年前には誰も言わなかったことが、

現在は常識になっていたりしますし、

その逆もまた然りです。

 

 そして最後に思うのは、人間とは?という問いです。

人間はどこまでも残虐になれるし、

どこまでも美しくなれます。

 

日本人だけが野蛮なのではなく、

また、当然の事ながら、

日本人だけが素晴らしいのではないのです。

 

人間は同じだと私は思います。

 

今もどこかで戦争をしています。

どうすれば人間は戦争をやめられるのだろうか?

 

人間は男でも女でも、

どんな人種でも尊重される社会を作るには

どうすればいいのだろうか?

 

何をすればいいのだろうか?

 

それを考えるいいきっかけになった映画でした。

 

では、また〜。

 

 

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シネマ歌舞伎【野田版 桜の森の満開の下】3つのみどころを紹介!

久々に土日のシネコンプレックスでした。

人多すぎですねえ。

 

こんにちは。

わかばです。

 

MOVIX京都でシネマ歌舞伎の「野田版 桜の森の満開の下」を

鑑賞してきました。

https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/images/%E3%80%8C%E9%87%8E%E7%94%B0%E7%89%88%20%E6%A1%9C%E3%81%AE%E6%A3%AE%E3%81%AE%E6%BA%80%E9%96%8B%E3%81%AE%E4%B8%8B%E3%80%8DB1%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC_S.jpg

いやあ、野田版歌舞伎あっぱれです。

こちらの野田版歌舞伎を観てからというもの、

大ファンなのです。

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ブログ記事にはしていませんが、今年のお正月にも観にいきました。

 

どんな話?

坂口安吾の短編「桜の森の満開の下」と「夜長姫と耳男」と

古代、飛騨国の伝説とをミックスさせたお話でした。

2017年8月、歌舞伎座の八月納涼歌舞伎で演じられた作品です。

 

何にも予習して行かなかったので、

最初、話の筋を読み取るのに苦労しました。

 

まずは予告編をどうぞ


【絶賛公開中!】シネマ歌舞伎『野田版 桜の森の満開の下』予告編

 

ヒダ国の王様が3人の彫り師を呼びあつめ(それぞれ訳あり)

姫の16歳の正月までに、ミロク像を彫るように指示する。

耳の大きな耳男は、その国の女に耳も切られてしまう。

また、その美しい姫はとても残酷な姫であった…。

 

というようなお話。

詳しくはこちら

www.shochiku.co.jp

 

以下、3つのみどころを紹介したいと思います。

 

市川染五郎(現・松本幸四郎)が美しすぎる

これに尽きますねえ。

今まで、現・市川染五郎の美少年っぷりには、

心をときめかせていましたが、

そういえば、彼のお父さんですからね。

 

大海人皇子(オオアマ→天武天皇)を演じているんですが、

美しいってだけではなくて、オーラが出てるというか、

いやあ、大王の感じがびんびん出ていました。

 

「もっと出せー!」と思うほどに、

とにかく美しすぎました。

 

セリフが面白すぎる

野田版歌舞伎が面白いのはセリフが現代語で、

しかもダジャレや、風刺などをささっと織り込んであるところ。

 

もちろん、古典歌舞伎のあのゆっくりとした話し方もいいけど、

現代劇的な要素(わかばは現代劇はほとんど観たことがありませんが)

と歌舞伎の魅力を掛け合わせて、野田版ならではの面白さを生み出しています。

 

早口で上品な漫才のように語られるセリフは

思わず笑ってしまうものや

日本語としても面白さを感じさせるものがあり、

野田版歌舞伎のみどころだと思います。

 

群衆の動き、役者の動きが素敵すぎる

 

一番最初のシーン。

ステージ上の満開の桜があり、

般若のお面をつけた何人かの鬼たちが花見をしているような

シーンがあるのですが、そのなんだかゾクゾクさせる演出は、

「満開の桜の木下には死体が埋まっている」ということを

ありありを感じました。

 

また、「古代遊園地」なるところに姫と耳男が行くシーンでは、

それも鬼たちが桜の枝を持ってステージ中走り回って、

ジェットコースターを表現していて面白かったです。

 

このように群衆の描き方が本当に独創的で魅力的だから、

最後の最後の姫と耳男の2人だけのシーンが、

余計にグッとくるのでした。

 

坂口安吾の原作本、ぜひ読んでみたくなりました。

中村兄弟の演技はよかったですが、

まだなんというか力が入りすぎているように感じますね…。

これからに期待したいと思います。

 

では、また〜。

 

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【映画レビュー】ROMA「女性賛歌が女性を苦しめ続ける」

春休み中に見たかった映画3本のうち

2本目の「ROMA」を見てきました。

 

こんばんは

わかばです

 

アカデミー賞外国語映画賞を受賞した本作は

 Netflixで配信中ですが、一部の劇場でも公開されています。

わたしはNetflixはやってないので、

京都出町座まで行ってきました。

 

どんな映画?

監督はアルフォンソ・キュアロンです。

メキシコ出身の映画監督で、

「ゼロ・グラビティ」や「トゥモロー・ワールド」

を撮った監督です。

2002年に「天国の口、終わりの楽園」を撮っています。

これ、わたしの大のお気に入りなのです。

でも、日本語の予告編ないですね……


Y Tu Mama Tambien Trailer English

 

主演はヤリッツア・アパリシオという

メキシコ先住民の女性です。

 

どんな話?

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/b2/cb/365907_001.jpg

 

ROMAというのはメキシコシティにある地区のひとつです。

1970年代、ROMA地区に住む中流家庭に

住み込みのお手伝いさんとして働くクレオを中心に

家族の中で起こる出来事が描かれていきます。

 

1970年代初頭のメキシコは政治的にも不安定で、

映画の中でも暴動が起こります。

 

また、白人は金持ちだけど、

先住民は貧しい暮らしを強いられ、

特に、先住民の女性は白人家庭でお手伝いさんとして、

働くことが多く、差別される存在です。

 

クレオの働く家庭は他所から見れば

いい家庭だけど、旦那は浮気をしてて、

それに気づいている奥さんはイライラして、

クレオに八つ当たりする始末。

子供達もスポイルされててわがまま放題。

クレオはそんな家庭で文句も言わず働いていますが…

というのがこの映画のあらすじ。

 

予告編はこちら

 


『ROMA/ローマ』ティーザー予告編 - Netflix [HD]

 

 

映画の感想

 

モノクロ映画です。

なんだか昔のメキシコ感出ています。

 

これってアルフォンソ・キュアロン監督の、

幼い頃の体験がベースになってるみたいなんです。

時代も1970年代だしね。

 

それで、母親がわりに愛情注いでくれた

先住民のお手伝いさんや、

夫に愛されなくなっても、

「冒険なのよ」と言いながら、

子供を育てていくお母さんは、

すごく強くて美しいと思うんです。

 

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/3a/69/365907_003.jpg

 

逆に、映画の中の男はサイテーなんですよ。

家庭を顧みないわ、

孕ますだけ孕ましといて、

「知らんし、俺の子ちゃうし」とか言って責任ある逃れもする。

そのくせ態度だけはいっちょまえでサイテーなんです。

メキシコ(およびラテンアメリカ)には

マチスモという男性優位主義があるんですよね。

 

そんなわけで、子供の立場から見ると、

「お母さんー!僕お母さん大好き!愛してる」

ってなるんですよ。

そして、その思いを50になっても60になっても

持ち続けているんです。

それって全世界の男性共通だと思うんですが、

メキシコはそれが強いというか……

 

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/7e/38/365907_002.jpg

 

そして、苦しい中で僕を育ててくれたお母さんを

賛美すればするほど、女性は苦しみに堪えるもの。

という先入観が刷り込まれませんかね?

それってどうなんですかね?

 

皆さんのお知り合いで妻に運転させない夫っていませんか?

女性の移動の自由を奪うことで、女性が自分のものに

なっていると勘違いしている人いませんか?

 

この映画でも空を飛ぶ飛行機がなんどもなんども

映し出されるんですが、先住民の女性は(そうでなくても)

メキシコを出ることすらできないのです。

 

奥さんが、夫が出て行った後で、でかい車を運転できず、

そこらじゅうぶつけまくるのですが、

これも、夫に移動の自由を与えられていないのです。

 

そして子供を作りすぎることもまた(劇中の家庭は4人)、

女性の移動の自由を奪っていると思うのでした。

 

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/e7/cb/365907_004.jpg

 

と、こういったことを実は卒業論文に書いていまして、

いささか熱く書きすぎました。

卒論テーマは「ロサリオ・カステジャーノスの作品を通してみる

メキシコの社会と女性」です。まだ実家にあるかな?

では、また〜。

 

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【映画レビュー】グリーンブック「勇気が人を変える」

やっと見に行けました「グリーンブック」

アカデミー賞受賞作品ですね。

とはいうものの平日朝一番のMOVIX京都は人もまばら……

 

おはようございます。

わかばです。

 

というわけで早速レビューしていきたいと思います。

ネタバレはなしです。

まずは予告編をご覧ください。

 


【公式】『グリーンブック』3.1(金)公開/本予告

 

誰が出てる?

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/92/bf/365598_001.jpg

アカデミー賞作品賞・助演男優賞(マハーシャラ・アリ)・脚本賞を

受賞しました。

 

監督はビーター・ファレリーという監督です。

「聞いたことないな…」と思って調べたところ、

「メリーに首ったけ」を撮った監督だそう。

今までコメディを中心に作品づくりをしてきたっぽいです。

 

主演はヴィゴ・モーテンセン。

今まで色々な映画に出てますが、

私が知ってるのは「ロード・オブ・ザ・リング」でした…

 

助演はマーシャラ・アリ。

「どこかで見たことある…」と思っていましたが、

「ムーン・ライト」に子供だった主人公の心の支えになる役で

出てましたね!その役でその年のアカデミー助演男優賞を

受賞しています。

「ムーンライト」についてはレビュー書いてます。

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どんな映画?

舞台は1960年代前半のアメリカ・ニューヨーク。

トニーはイタリア移民で、ナイトクラブの用心棒をしています。

美人の奥さんと可愛い息子二人でブロンクスに住み、

貧しいけれど、幸せな暮らしをしています。

 

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/1a/1d/365598_003.jpg

 

こんなシーンがありました。

トニーの家の水道を直しに黒人の修理工が来ていました。

奥さんはその修理工二人に飲み物を与えます。

が、トニーは黒人の使ったグラスを捨ててしまうのです。

「黒人の使ったグラスが使えるか!」といったところでしょう。

トニーは根はいいやつなのですが、喧嘩っぱやく乱暴な男でした。

 

そんなトニーに仕事が舞い込みます。

黒人天才ピアニスト、ドクター・シャーリーの

運転手兼用心棒として、彼の南部へのコンサートツアーに

帯同するという仕事です。しかも給料は破格。

 

トニーは「黒人が上司なんて…」とは思うものの、

破格の給料も魅力だし、ドクター・シャーリーに望まれている

というのもあって引き受けたところから、

トニーとドクター・シャーリーの旅が始まります……

 

観た後の感想

 

トニーは白人(イタリア移民)だけど、シャーリーは黒人。

シャーリーは上流階級だけど、トニーは下流。

そして、お互いアメリカでは差別される存在。

 

そんな二人のカチコチに凝り固まった偏見を、

旅を通して、おもしろおかしく溶かしていくところが、

この映画の面白いところです。

そして、ゆっくりと脚本が人の心にフォーカスしていく。

 

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/5e/4c/365598_002.jpg

 

タイトルにもある言葉「勇気が人を変える」

その前には実は「才能で人を変えることはできない」とありました。

自分が認められる場所だけで、弾くのでは何も変わらない。

黒人ピアニスト、ドクター・シャーリーの勇気とは何か?

ぜひ劇場で観てくださいね。

 

それにしても、半世紀以上経っても、

人間の社会というのは何も変わらないのですね。

アメリカでも、ヨーロッパでも、日本でも、

偏見にみち、差別が横行し、憎しみは消えることはありません。

だけど、一人の人間と一人の人間のあたたかい出会いが、

偏見を溶かすこともあります。

というか、それしか溶かす方法はないのです。

そこに人間の美しさがあるのだなあと思いました。

 

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/c7/bf/365598_004.jpg

 

おまけ(字幕について)

今、予告編を何度も見返しながら、

これを書いているのですが、

予告編の字幕と、映画館で見た映画の字幕が

違うんですよね。

それも微妙にとかじゃなく、かなり違う……

予告編の方がいいんですけど……

いやあ、言葉のチョイスって大きいですね。

印象をかなり左右しますね。

いずれオリジナルで聞けるようになりたいです。

 

では、また〜

 

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戦争とは何か?映画を通して考えられるアマゾンプライムの映画10選

みなさん、映画は好きですか?

わたしは本当に映画が好きです。

入院中もアマゾンプライムでいくつか映画を見ました。

その中の映画が戦争モノが多かったので、

タイトルのようなまとめ記事を作ってみました!

 

 ①この世界の片隅に

最近、プライム入りした作品。

クラウドファンディングで製作されたことも有名な

名作中の名作です。すずさんに会いに行ってください。

この世界の片隅に

この世界の片隅に

 

 当ブログ記事↓

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②硫黄島からの手紙

クリント・イーストウッド監督作品です。

何度見てもいいですね。

いつも気づきがあり、

神は細部に宿るとはこのことかと思います。

 

③父親たちの星条旗

同じくクリント・イーストウッド監督作品。

「硫黄島からの手紙」と対になる作品です。

「硫黄島」は日本側からみた物語で、

「父親たち」はアメリカ側から見た物語です。

そういう作り方ができるクリント・イーストウッド監督は、

人間として器がでかいと思います。

 

 ④ロイヤル・ナイト

宮殿の中で育ったエリザベス女王が、

第2次世界大戦ヨーロッパ戦勝記念日に

宮殿を抜け出し、街に繰り出す話。

これは、街に繰り出したのは事実だそうですが、

ストーリーはフィクションです。

ありきたりですが、とても良いストーリーです。

 

⑤英国王のスピーチ

④のロイヤルナイトと合わせて鑑賞される事をオススメします。

エリザベス女王の父、ジョージ六世の物語。

吃音をもつ国王が、どうやってそれを克服していったのか?

というところが描かれます。

最後の方に第2次世界大戦に向けて、国民を勇気づける

スピーチがあります。

英国王のスピーチ (字幕版)

英国王のスピーチ (字幕版)

 

 

⑥帰ってきたヒトラー

ヒトラーが現代に帰ってきたらどうなるか?

という話。厳密には戦争の映画ではないかもしれないけれど、

観るものに戦争とはどうやって始まるのか?という事を

教えてくれる貴重な作品。

 

⑦アメリカンスナイパー

こちらも名匠クリント・イーストウッド監督作品。

イラク戦争で活躍した実在のスナイパーの話。

戦場の描写がものすごくリアルな映画。

戦争に行った兵士の苦しみが丁寧に描かれた作品です。

 

 ⑧野火

これはかなりのトラウマ映画…。

でも、わたしにとってはかけがえのない映画体験でした。

とてつもなく長く感じた84分

終映後、明るいロビーに出てきて、ほっとしたほどです。

野火

野火

 

 

⑨日本のいちばん長い日

というのは、とりもなおさず、8月15日のことです。

戦争を終わらせるためにお偉いさんがたが、

がんばったという話です。

本土決戦VS戦争終結、というような…

が、その間に若い命がまるで消耗品であるかのように

散っていった事を思うと、なんだかむなしくもなる映画です。

日本のいちばん長い日
 

 

 

⑩手紙は憶えている

半分、認知症になってしまっているおじいさんが、

友人に戦争時代の復讐を持ちかけられ、病院をぬけだし、

仇を探しながら、各地を転々とする話。

もう、そんなフラフラな状態で、銃を持っていることに

まずは恐怖を感じる映画でした。

ラストにどんでん返しがありますので、乞うご期待!

 

手紙は憶えている(字幕版)

手紙は憶えている(字幕版)

 

 当ブログ記事↓

 

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いかがでしたでしょうか?

全部オススメとはいいませんが、

面白かったものを集めてみました。

この中の半分は劇場でみたものです。

実際とても面白かったので、

まだみていない方は、

ぜひみてみてくださいね。

 

では、また。

 

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わかばが2018年に観た映画ベスト5!

昨日、帰省から帰ってきて、

今日から通常モードに戻しています。

 

こんにちは。

わかばです。

 

通常モードといっても、

仕事が始まるわけではないのですが、

「正月」という雰囲気を消そうとしています。

 

それで、今日はこちらに行って来ました。

 

 

今年の初映画です。

その前に、去年に観た映画がレビューで来てないので、

レビューしておきますね。

 

今はこのブログは日本語教師ブログですが、

はじまりは映画のレビューブログだったので……

 

ベスト5 ラジオ・コバニ

 

シリア内線でめちゃくちゃになった自分の街「コバニ」を

立て直すために、手づくりのラジオ局を作って、

ラジオ番組を立ち上げる女子を追った

ドキュメンタリー調の映画です。

これぞ発信!ってことを思わされました。

 

明るい感じがするけれども、

がれきの山から死体が出てきたり、

戦争の悲惨さをさらりと出してくるので、

こちらもビックリしますが、

それに負けじと新しい生活を作っていこうとする

人々に勇気づけられもしました。

 


映画『ラジオ・コバニ』予告編

映画『ラジオ・コバニ』劇場パンフレット

 

 

ベスト4 ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ・アディオス

 1999年に作られたヴィム・ベンダーズによる

「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のその後を

描いたドキュメンタリー。

1999年はちょうどメキシコ留学をしていた年で、

ブエナビスタの音楽もずっと聴いていたし、

映画もしていたし、というわけで、わが青春のブエナ・ビスタ

という感じで観に行きました。

亡くなってしまったメンバーのあとを、

息子や孫がつとめていたりして、

あの音楽が脈々と受け継がれていることに感動しました。

 


【公式】『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』7.20公開/本予告

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス [DVD]

 

ベスト3 ボヘミアン・ラプソディ

みんながモウレツにオススメするので、

クイーン全然知らないけど、観てきました。

そして予定通り、クイーンが好きになって帰ってきました。

 


映画『ボヘミアン・ラプソディ』最新予告編が世界同時解禁!

Bohemian Rhapsody (The Original Soundtrack)

 

 

ベスト2 万引き家族

これもよかったですねえ……

好きなシーンがありまして。

いつも駄菓子屋で万引きをする息子。

駄菓子屋の主人はそれを黙認しています。

ある日、妹(ネグレクトで拾ってきた子)に万引きを

教えようとしてバレます。

主人は「妹にはさせるな」といって、お菓子をあげ、

数日後、亡くなります。

そのエピソードのところがすごく心に残っています。

 


【公式】『万引き家族』大ヒット上映中!/本予告

万引き家族 通常版DVD(特典なし) [DVD]

 

ベスト1 カメラを止めるな!

ダントツで面白くて好きでした!

最初は2館だったのに、大ブレークってのもよかったです。

誰かに観てほしくて、友人誘って2回目見に行きました。

その友人もゲラゲラ笑ってくれて、本当にうれしかったです。


人気爆発で上映劇場が拡大!話題の映画「カメラを止めるな!」の“感染拡大”予告編が公開

カメラを止めるな!  [DVD]

 

というわけで10本も映画を観ていませんが、

とりあえず、ベスト5やってみました。

みなさんがよかった映画はどれですか?

よければ教えてください。

 

では、また~

 

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